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令和5年度 地質調査技士資格検定試験「現場技術・管理部門」(Ⅲ. 現場技術の知識(38問))の回答及び解説を作成しました
各問題についての回答と解説は、「回答・解説はこちら→」に記載しています
地質調査技士の資格取得を目指す方々に少しでも役に立てば嬉しいです
令和5年度 地質調査技士試験「現場技術・管理部門」
Ⅲ. 現場技術の知識(38問)
問29. 次は,ボーリングマシンのタイプについて述べたものである。文章中の空欄 A ~ D にあてはまる名称の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
A 型 B 式ボーリングマシンは,主に地質調査や鉱物資源の探査などのコアリングによる試料の採取を目的に開発された。
C 式ボーリングマシンは,掘削時の状況が直接フィードレバーを通して感知できるなどの利点があり,地質調査ボーリングなどに使用されている。
石油・天然ガス開発,地熱資源調査開発などを目的に発達してきたのが D 型ボーリングマシンである。
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正解は「3」。地質調査等のコアリングによる試料採取を目的として使用されているボーリングマシンはスピンドル型(回転給進機構)が一般的に用いられる。近年は油圧フィード式が主流で、ハンドフィード式は浅堀りや山間地・狭小地などの特殊条件下で活躍している。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.29 「2章 ボーリング掘削装置および器具類」)
問30. 次は,モノレールの仮設・運搬における,設置距離と総運搬距離の関係を示したものである。起点から終点まで 500mを 1 往復する場合,積算上の数量の表記について適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「3」。設置距離については積算上「実設置長」であるため500m。総運搬距離については「運搬した距離」であるため500m×2=1,000mとなる。
(参考資料:全地連「積算基準(案)モノレール架設・運搬(令和4年3月)」)
問31. 次は,埋設物確認のための試験掘りについて述べたものである。文章中の空欄 A 〜 D にあてはまる語句の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
市街地や道路などでは地中に多くの埋設物(電気・ガス・水道・通信など)が存在しており,調査ボーリングはこれら多くの埋設物を避けて行わなければならない。 A のみでの確認ではなく,埋設物の存在が疑われる場所では B により,これらの有無を確認しなければ
ならない。特に年代の C 埋設物は記録どおりに埋設されているとは限らない。
試掘は,ダブルスコップやオーガーを用い人力によって行われる。試掘可能な深さは一般的に D m程度であるが,それより深い埋設物は他の方法で確認する。
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正解は「4」。ボーリング地点の近辺に何らかの地下埋設物が存在する可能性が少しでもある場合は、試掘などによる確認調査が不可欠。爆発物などの危険物が埋設されている可能性がある地域は、磁気探査などの検討も必要。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.111 「3章 計画・準備、仮設」)
問32. 下表は,海上足場によるボーリングでの検尺の内訳を示したものである。このときに使用した 3mロッドの本数について,適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)13本
- (2)14本
- (3)15本
- (4)16本
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正解は「2」。使用したロッドの本数を求めるにあたって使用したロッドの総延長を求める必要がある。コアバレルはコアを採取するための器具でロッドの延長には含めてはならない。よって、2.1m(足場床面からの残尺)+14.5m(海底面から足場床面までの高さ)+27.0m(最終掘削長)−1.6m(コアバレル)=42.0m(ロッド総延長)。ロッド1本の延長は3mであることから、42.0m(ロッドの総延長)÷3m(ロッド1本の延長)=14本(使用したロッドの本数)。
問33. 次は,コアリングについて述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)コア詰まりと判断しても,予定深度まで掘進を行う。
- (2)掘進速度が急激に低下した場合は,高回転にして,高い給圧をかける。
- (3)送水圧が急激に下がった場合には,掘進を急ぐ。
- (4)一般的にコア詰まりすると掘進速度は大幅に低下する。
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正解は「4」。(1)コア詰まりと判断したら、直ちにコアバレルを引き揚げてコアを回収する。(2)掘進速度が急激に低下した場合は、コア詰まりの可能性がある。(3)送水圧が急激に下がった場合は、慎重に掘削する。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.196 「4章 掘進技術」)
問34. 次は,器具等の孔内落下時の対応について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)小物でも,コアバレルで掘進してコアと共に採取することはない。
- (2)落下物の形状を把握することを最初に行う。
- (3)落下物が途中に引っかかっている場合は,孔底に突き落して回収する。
- (4)使用中のクラウンが落下した場合は,セメントで固めて回収する。
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正解は「1」。小物でコアバレルに入るときは、掘進してコアとともに採取する。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.221 「4章 掘進技術」)
問35. 次は,帯水層に計器設置を行う地下水位観測孔について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)近年の水位観測機器(水圧計)には小型化したものもあり,VP40~50 の塩ビ管内でも設置可能である。
- (2)水圧式水位センサを用いる場合は,大気圧補正を行わなくて良い。
- (3)難透水層の遮水材には,膨潤性の粒状ベントナイトを用いることが多い。
- (4)フィルター材は,1 号~3 号珪砂から適切なものを選定する。
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正解は「2」。水圧式水位センサを用いる場合は、大気圧補正を行う必要がある。
問36. 次は,一般社団法人 全国地質調査業協会連合会で示されている「高品質ボーリング」が有効となる地層を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)亀裂のほとんどない均質な泥岩
- (2)断層角れき・断層粘土などの断層破砕部
- (3)チャートなどの硬岩の割れ目密集部
- (4)地すべりのすべり面・移動土塊
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正解は「1」。高品質ボーリングは通常のオールコアボーリングではコア採取率が低下する、あるいは自然な地質構造・堆積構造が観察できる良好なコア採取が困難と判断される地質を対象とする。問題文以外で全地連が示している高品質ボーリングが有効となる地層として、「崖錐堆積物・河床堆積物などの礫・玉石を含む未固結層」「開口割れ目によるゆるみ部(開口割れ目やゆるみ部は、程度が大きい場合は高品質ボーリングでもコア採取が困難な場合がある)」「強風化による風化軟質部」「熱水変質による変質劣化部」「溶岩の自破砕状部」「固結度の低い砂岩泥岩互層などの硬軟繰り返しの互層」がある。
(参考資料:全地連「高品質ボーリング 積算基準(案)令和4年1月」)
問37. 次は,砂質土のサンプリングにあたっての注意事項について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)押込むことが困難となった場合は,押込みを一時中断してから再度押し込む。
- (2)地盤の状態に応じて,シューの突出長さを調整する。
- (3)サンプリング終了後,サンプラーに衝撃を与えないよう静かに引き上げる。
- (4)ライナーの側面には,上下の区分を明記する。
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正解は「1」。サンプラーの押し込みが困難となった場合は、押し込みを中止してその深さを測り、サンプラーを引き上げる。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.244 「5章 試料採取と土および岩の分類」)
問38. 次は,スクリューウエイト貫入試験方法(JISA1221:2020)から得られる情報を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)原位置における土の硬軟,または締まり具合を判定するための情報
- (2)土層の構成を判定するための情報
- (3)戸建て住宅の支持力特性を把握するための情報
- (4)高層建築物の支持層を把握するための情報
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正解は「4」。スクリューウエイト貫入試験方法は、土の硬軟や締まり具合の判別、戸建住宅などの小規模建築物の支持力特性の把握を目的とした試験であり、高層建築物の支持層把握には利用されない。
問39. 次は,針貫入試験(JGS3431-2012)について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)軟岩のみを対象とする。
- (2)机上型と携行型の 2 種類がある。
- (3)貫入針は,もめん針 3 号を標準とする。
- (4)貫入量 1mm 毎に,貫入荷重を記録しなければならない。
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正解は「2」。(1)土及び軟岩を主たる対象とする。(3)貫入針は、もめん針2号、大くけ針を標準とする。(4)貫入量が10mmに達するか貫入荷重がその試験機の最大に達したところで、針の貫入長さ、貫入荷重を記録する。1mm毎に貫入荷重を読み取ることが可能な場合はそれを記録する。
問40. 下表は,地盤の指標値を求めるための,プレッシャーメータ試験方法(JGS1531-2012)の用語と定義を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「3」。ゴムチューブは3度以上膨張させる。
問41. 次は,平板載荷試験方法(JGS1521-2012)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)地盤の支持特性や,変形特性を求めるための試験である。
- (2)盛土等の人工地盤や,土質~軟岩~硬岩に至る自然地盤を対象とする。
- (3)載荷板の直径は200mm以上を標準とする。
- (4)試験地盤面は,載荷板の中心から載荷板直径の3倍の範囲を水平に整地する。
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正解は「3」。載荷板の直径は300mm以上を標準とする。
問42. 次は,単孔を利用した透水試験方法(JGS1314-2012)について述べたものである。適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
試験方法には,孔内の水位を低下または上昇させた時の A を経時的に測定し,透水係数を求める B と,揚水または注水して,水位が一定となったときの C を測定し透水係数を求める D がある。 B は,透水係数が 10-4m/s 程度以上の, D は,透水係数が 10-5m/s 程度以上の地盤に適している。
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正解は「4」。非定常法は、測定用パイプ内の水位を低下あるいは上昇させ、平衡状態に戻る時の水位変化を経時的に測定して、その速さによって透水係数を求める方法。砂質・砂れき地盤を対象に行われるが透水係数10-4m/s程度以上の透水性が高い地盤では水位の変化が速く計測に注意が必要。定常法は、揚水または注水して測定用パイプ内の水位が一定になった時の流量を測定して、水位低下量または上昇量と流量の関係から透水係数を求める方法。透水係数10-5m/s程度以上の砂質・れき質地盤に適している。
問43. 下図は,地盤材料の粒径区分と,その呼び名を示したものである。図中の空欄 A 〜 C にあてはまる数値の,適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「2」。粘土とシルトを判別する「0.005」mmも頻繁に問題として出題される。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.281「5章 試料採取と土および岩の分類」)
問44. 次は,地盤材料の工学的分類方法(JGS0051-2020)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)分類記号は,〔 〕が大分類,{ }が中分類,( )が小分類として区分する。
- (2)細粒分質砂質れき(GFS)は,三角座標上の分類で 15%≦細粒分,15%≦砂分である。
- (3)粒径 75mm 以上の石分が,質量分率で 50%以上含まれるものは岩石質材料である。
- (4)粗粒土の小分類には,液性限界試験,塑性限界試験が必要である。
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正解は「4」。粗粒土の小分類は主に粗度組成より行う。液性限界試験、塑性限界試験を行う必要があるのは細粒土。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.281「5章 試料採取と土および岩の分類」)
問45. 次は,特殊土,ローカルソイルについて述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)関東ロームは,赤褐色の火山灰質細粒土である。
- (2)まさ土は,花崗岩などの風化残積土である。
- (3)しらすは,非溶結あるいは弱溶結の火砕流堆積物である。
- (4)黒泥は,高有機質土のうち未分解で繊維質なものである。
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正解は「4」。問題文は泥炭のこと。黒泥は分解の進んだ黒色を呈する土。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.281「5章 試料採取と土および岩の分類」)
問46. 次は,岩盤ボーリングのコア採取率および最大コア長,RQDについて述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)最大コア長は,コア箱収納ごとの最も長いコア長のみを表示する。
- (2)個々のコアの長さは,コアの中心線上で測定する。
- (3)RQDは,岩盤の良否を表す指標で,単位区間当たりの 10 ㎝以上の長さのコアの総延長の比で表示する。
- (4)コア採取率は,サンプラー引き上げごと(1削孔長ごと)に,1削孔長の長さに対するコアの全周が採取されているものの,合計の長さの百分率で表す。
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正解は「1」。最大コア長は、サンプラー引き上げごとの最も長いコア長を表示する。
問47. 次は,岩盤ボーリングの,コアの風化の程度について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)風化は,岩種,岩相,風化作用,風化時の環境条件によって異なる。
- (2)風化は,造岩鉱物の変質や酸化の状況などから風化の程度を区分する。
- (3)風化の程度を岩級区分の要素とする場合,全国一律の基準で評価する。
- (4)風化の程度を区分するのに使用した基準表は,柱状図の末尾または別紙に凡例として示す。
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正解は「3」。風化は、岩種、岩相、風化作用、風化時の環境条件によって状況が異なるため一律に区分することができない。風化の程度を岩級区分の要素とする場合は、現場状況に応じて基準表を作成し、それに基づき区分する。
(参考資料:「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」(平成27年 6月))
問48. 次は,地すべりにおける破砕度について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)地すべり移動体を構成する岩盤は,地すべり運動によって破砕されている。
- (2)地すべり移動体のボーリングコア観察では,すべり面粘土の抽出とともに,地すべり移動体を構成する岩盤の破砕度と,その空間的な分布の把握が重要である。
- (3)地すべり起源の破砕岩と造構断層起源の破砕岩は,構造上,明瞭に区分できる。
- (4)破砕の程度を区分するには,高品質ボーリングなどのできるだけボーリングコアを乱さない採取が必要である。
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正解は「3」。地すべり起源の破砕岩と造構断層起源の破砕岩はよく類似しているため破砕度を区分する際には留意する必要がある。
(参考資料:全地連「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説(平成27年 6月)」)
問49. 次は,ボーリング柱状図の標題欄の記入要領について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
なお,記入要領は,一般社団法人 全国地質調査業協会連合会「ボーリング柱状図作成およびボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」(平成 27 年6月)に準じるものとする。
- (1)調査期間は,ボーリング削孔の開始日,終了日を記入する。
- (2)総削孔長は,削孔したボーリングの全長を 1/10m単位まで記入する。
- (3)緯度および経度は,世界測地系の度,分,秒で記入する。
- (4)地盤勾配は,孔口を中心に斜面上下方向各々5m程度の範囲の平均勾配を記入する。
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正解は「2」。総削孔長は、削孔したボーリングの全長を1/100m単位まで記入する。
(参考資料:全地連「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説(平成27年 6月))
問50. 次は,岩盤ボーリングコアの観察と記載について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)岩石名を決定するために,コアから試料を採取してもよい。
- (2)コアの色調を「青灰色」と記載するときは,「青」が従色で「灰」が主色である。
- (3)コアの取り扱い中に生じた割れ目には,印などをつけて明示する。
- (4)風化作用を受けた岩石には,粘土鉱物や黄鉄鉱を生じることが多い。
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正解は「4」。風化作用を受けた岩石は粘土鉱物を生成することがあるものの、黄鉄鉱は生成されにくい。
問51. 下表は,N値と粘土のコンシステンシーの関係をもとに,実測N値に対応するコンシステンシーを示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「2」。実測N値が5の場合は、コンシステンシーは「中位の」に当たる。
<2・・・非常に軟らかい
2〜4・・・軟らかい
4〜8・・・中位の
8〜15・・・硬い
5〜30・・・非常に硬い
>30・・・固結した
(参考図書:地盤工学会『地盤調査の方法と解説』 P.308)
問52. 次は,土壌汚染状況調査におけるボーリング調査の注意事項について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)土壌試料の採取では,サンプリングによる攪乱のような物理的性質の変化は問題としなくてよい。
- (2)調査器具に付着した汚染土壌や地下水が,試料へ混入しないようにする。
- (3)試料採取の際に,土壌の化学的な性質を変化させないように試料を採取する。
- (4)循環利用する清水または泥水は,二次汚染を防ぐため交換を控える。
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正解は「4」。土壌汚染状況調査におけるボーリング調査では有害物質の濃度変化が生じないように掘削水を用いずに掘削することが基本となる。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.452「8章 土壌・地下水汚染にかかわる調査」)
問53. 次は,土の粒度試験方法(JIS A 1204:2020)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)試料の最大粒径が大きくなるほど,必要とされる試料の質量の目安は大きくなる。
- (2)ふるい分析では,粒度分布の計算過程で室温に応じた温度補正を行う。
- (3)沈降分析は,目開き 2mm のふるいを通過した試料を用いて行う。
- (4)試料がすべて目開き 9.5mm のふるいを通過し,一部の試料が目開き 4.75mm のふるいに残留した場合,試料の最大粒径は 9.5mm である。
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正解は「2」。粒度分布の計算過程で室温に応じた温度補正を行うことはない。目開き75μmのふるいを通過した試料の通過質量百分率を算出する際に、浮ひょうの読みを取った時の懸濁液の温度に対する補正係数を掛ける必要はある。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.115「土の粒度試験」)
問54. 下図は,土の状態変化とコンシステンシー限界の関係を模式的に示したものである。図中の空欄 A ~ D にあてはまる語句の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「1」。液性限界とは土が塑性状態から液状に移る時の含水比。塑性限界とは土が塑性状態から半固体状に移るときの含水比。収縮限界とは土の含水量をある量以下に減じてもその体積が減少しない状態の含水比。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.137「液性限界・塑性限界試験」)
問55. 次は,土の透水試験方法(JIS A 1218:2020)について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)飽和状態の土の中を浸透する水の流量速度 v(m/s),透水係数 k(m/s),水の粘性係数η(Pa・s)は v = kηの関係がある。透水試験では,その比例定数である k を求める。
- (2)変水位透水試験は,動水勾配が一定の条件下で一定時間内に浸透する水量を測定する試験である。
- (3)動水勾配は大きければ大きいほどよい。
- (4)測定前に供試体の飽和度を高める必要がある。
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正解は「4」。(1)飽和した土の中を浸透する水の流量速度vを求める場合は、透水係数k×水頭差h/土試料の長さL=透水係数k×動水勾配iが成り立つ。(2)問題文は定水位透水試験の説明。(3)動水勾配は大きければいいというものではない。
問56. 次は,コンクリートの中性化深さの測定方法(JIS A 1152:2018)およびコンクリートの中性化について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)コンクリートの中性化とは,硬化したコンクリートが酸素と反応して次第にアルカリ性を失っていく現象である。
- (2)中性化深さの測定では,試薬にフェノールフタレイン溶液を用いるのが一般的である。
- (3)測定面は,コア供試体を用いるほか,コンクリート構造物のはつり面を用いる場合がある。
- (4)測定面を空気中に長時間放置しておくと,測定面が中性化して正確に測定できないことがある。
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正解は「1」。コンクリートの中性化は、硬化したコンクリートが二酸化炭素と反応して次第にアルカリ性を失っていく現象のこと。
問57. 次は,岩石の三軸圧縮試験について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)圧密非排水(CU)の排水条件は,原理的に試験が不可能である。
- (2)供試体の直径は 50~100mm,高さは直径の 2 倍を標準とする。
- (3)供試体を飽和させる必要はない。
- (4)変形係数を求めることはできない。
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正解は「2」。(1)飽和した軟岩を対象とした圧密非排水(CU)三軸圧縮試験方法がある。(3)供試体は飽和させる必要がある。(4)岩石の三軸圧縮試験では変形係数を求めることができる。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.829「岩(岩石)の三軸圧縮試験方法」)
問58. 下表は,岩石試験とその結果から得られる項目を示したものである。不適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「2」。岩石の吸水膨張試験では「最大吸水膨張率または最大吸水膨張応力」、試験後の供試体の「吸水含水比、吸水含水比変化、乾燥密度」等を得られるものの、スレーキング指数は得られない。スレーキング指数は「岩石のスレーキング試験」の結果で得ることができる。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.271「岩石の吸水膨張試験」)
問59. 次は,軟弱な粘性土地盤上への盛土を設計,施工する際に行われる試験法を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)土の一軸圧縮試験(JIS A 1216:2020)
- (2)土の段階載荷による圧密試験(JIS A 1217:2021)
- (3)砂の最小密度・最大密度試験(JIS A 1224:2020)
- (4)土の湿潤密度試験(JIS A 1225:2020)
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正解は「3」。砂の最小密度・最大密度試験は砂の最も緩い状態と最も密な状態の乾燥密度を求める試験。異なる砂の力学的特性を比較する場合等に行われる試験であり、軟弱な粘性土地盤上への盛土を設計、施工する際に行われる試験法ではない。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.195「最小密度・最大密度試験」)
問60. 下表は,反射法地震探査(浅層反射法)測定パラメータを決定する際の,留意事項を示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「3」。(1)表面波が認められたときは、最小オフセット距離をある程度大きく設定することで、表面波が到達する前に反射波を記録できる。(2)地盤の見かけ速度が遅い場合や周波数の低い信号が得られる場合はサンプリング間隔を適度に長くすることで効率的にデータを取得できる。(4)S/N比はバーティカルスタック回数の平方根に比例して改善される。
問61. 下図は,地中レーダ探査の記録波形の模式図を示したものである。図中の記号A~Dにあてはまる対象物の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「2」。埋設管や空洞の場合は双曲線状の反射波の集合体、地層境界の場合は連続した反射面が検出される。
(参考資料:路面下空洞探査車の探査技術・解析の品質確保コンソーシアム「路面下空洞探査技術マニュアル(案)(平成29年9月)」)
問62. 次は,重力探査の適用対象を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)既設杭の根入れ長
- (2)地盤改良モニタリング
- (3)空洞探査
- (4)浅部の地層探査(埋没谷,活断層など)
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正解は「1」。重力探査では地質構造や空洞、埋設物の有無等を推定することができるものの、既設杭の根入れ長を推定する際には適さない。
問63. 次は,音響インピーダンスについて述べたものである。文章中の空欄 A ~ B にあてはまる語句の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
海上音波探査による反射波が生じる現象として,最も大きく寄与する物性は音響インピーダンスであり, A と B を掛け合わせた物理量である。
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正解は「4」。音響インピーダンスとは音の伝わりやすさを数値化したもので、密度×P波速度で求めることができる。
問64. 下表は,速度検層の種類と測定上の適用条件を示したものである。表中の空欄 A ~D にあてはまる語句の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「3」。ダウンホール方式ではケーシングを設置した状態でも測定が可能。孔内起振受振方式では孔内水位よりも深い位置に受信器と起振装置を入れ測定、解析を行う。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.376「6章 ボーリング孔内を利用する原位置試験・計測」)
問65. 次は,PS 検層のデータ処理・解析について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)測定波形に対して,必要に応じフィルタ処理を行う。
- (2)各深度のP波およびS波の記録波形を別々に,深度順に並べて表示する。
- (3)波形記録からP波およびS波の初動到達時間を読み取り,走時曲線を作成する。
- (4)走時曲線から地盤の速度を算出する際には,柱状図の地層境界に合せて速度境界を決める。
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正解は「4」。ボーリング柱状図がある場合は速度境界を決定する際に参考することが望ましいものの、柱状図に合わせて境界を決めることは間違い。
問66. 次は,電気検層を実施するにあたって,抽出したい地層の特徴・特性・現象を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1)地下水の流速
- (2)断層や風化部等の存在
- (3)地層層序の対比
- (4)帯水層,湧水・逸水箇所
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正解は「1」。電気検層は、地層の電気抵抗(比抵抗)や自然に発生している電位(自然電位)の深さ方向の分布を測定する方法であり、地層の層厚分布や帯水層の検出等に用いられるが、地下水の流速を求める際には用いられない。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.378「6章 ボーリング孔内を利用する原位置試験・計測」)
解説については図書や他サイトを参考に記述していますが、
私自身、勉強している身であるため、言葉足らずな点や間違い等あるかと思います
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