地すべり
主任
0. まずここだけ覚える
- 素因 vs 誘因:「流れ盤」は素因(地質構造)であり「誘因」ではない。斜面の切土・融雪・地震動などは誘因。
- 土砂災害の区別:土石流=土砂が水と混じり高速で流れる。がけ崩れ=急激に崩壊。地すべり=地下水の影響でゆっくり移動(「ゆっくり押し流される」は土石流ではない)
- 物理探査測線は滑落崖を含めた計画とする(「滑落崖を避ける/離れる位置」→ 誤り)
1. 意味(一言でいうと)
地下水などの影響でゆっくりと地すべり面(すべり面)に沿って斜面下方へ土塊が移動する自然斜面の崩壊現象。
新第三紀層・断層破砕帯・粘土鉱物などの素因を持つ地盤に多く発生する。調査は物理探査・ボーリング・地下水観測を組み合わせてすべり面の位置・活動状況を把握し、安定解析で対策工を決定する。
2. 出題パターンと重要ポイント
章別の出題傾向
| 章 | 出題数 | 主な出題テーマ |
|---|---|---|
| 第5章 | 11 | 安定解析・分割法・変形係数・三次元解析・道路防災カルテ |
| 第2章 | 8 | 素因・誘因・土砂災害の種類(土石流・がけ崩れ・深層崩壊との区別) |
| 第3章 | 8 | 調査観測項目・物理探査測線・孔内傾斜計 |
| 第4章 | 3 | ボーリング調査の箇所数・間隔・オールコア採取 |
| 第1章 | 2 | 地すべり関連の基礎知識 |
※出題数=令和元年度試験〜令和7年度試験の6年間に出題された数
頻繁に問われるポイント・ひっかけ
【素因・誘因の区分と具体例】
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 素因(地質構造) | 片理面、断層・破砕帯、新第三紀層、流れ盤 |
| 誘因(引き金) | 斜面の切土、融雪、地震動 |
ひっかけ:「流れ盤は誘因」→ 誤り(素因)。「斜面の切土は素因」→ 誤り(誘因)。
【土砂災害の種類の区別】
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 土石流 | 土砂が水と混じって高速で流れ下る(「ゆっくり」→ 誤り) |
| がけ崩れ | 雨や地震で土の抵抗力が弱まり急激に崩れ落ちる |
| 地すべり | 地下水などの影響で地すべり面に沿って下方へ移動 |
| 深層崩壊 | 表土層だけでなく深層まで崩壊する大規模崩壊 |
【調査観測項目と成果】
| 調査観測 | 得られる成果 | ひっかけ |
|---|---|---|
| 地下水検層 | 地下水流動層の特定のみ | 「すべり面深度も特定」→ 誤り |
| パイプ歪(ひずみ)計 | すべり面深度と活動状況 | |
| 孔内(挿入式)傾斜計 | すべり面深度と変位量 | |
| 地盤伸縮計 | 地表面の移動量のみ | すべり面推定には不適切 |
【ボーリング調査留意点】
- 1運動ブロック内で 3箇所以上 実施(「1箇所で行う」→ 誤り)
- 調査箇所間隔:30〜50m 程度
- オールコア採取を原則とする
【物理探査】
- 探査測線は滑落崖を含めた計画(「避ける・離れる」→ 誤り)
- 物理探査結果はボーリング結果を補足するもの(「優先採用」→ 誤り)
- すべり面推定は物理探査・ボーリング・地下水を総合的に検討
【安定解析】
- 分割数は安全率に影響する(「一定でよい」→ 誤り)
- 必要パラメータ:粘着力・せん断抵抗角・地下水位・土塊の単位体積重量
- 変形係数は不要
- 三次元安定解析手法は開発されている(Hovland法など)
- 道路防災カルテ安定度評点:要因・履歴・対策工(「地震時の安定性」は含まない)
3. 過去問例
(令和7年度 第4章 問67より)
次は,地すべりにおけるボーリング調査に関する留意点について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) ボーリングはオールコア採取を原則とし,掘削孔径はボーリング孔を利用したすべり面調査や地下水調査を考慮し適切に定める。
- (2) 調査箇所は,地すべりの運動方向に設定した主測線に沿って,地すべりブロック内の中央部にあたる1箇所で行うことを基本とする。
- (3) 調査深度は,地すべり土塊内の岩塊を基盤と見なせる場合もあることから,基盤を確認するのに十分な深度とする。
- (4) 地すべりブロックの層厚が推定不可能な場合は,原則として1本あたりの長さを地すべりブロック幅の1/3程度と仮定し,掘進結果を参考に長さを調整する。
正解:(2)
1つの運動ブロック内では 3箇所以上、間隔 30〜50 m を確保して調査するのが基本。
4. 覚え方
| 混同しやすい事項 | 覚え方 |
|---|---|
| 素因・誘因の区別 | 「素因=素(もと)からある地質・地形」 「誘因=誘い込む引き金(外からのイベント)」 |
| 土砂災害の速度 | 「土石流は石が転がるように速い。地すべりは名前通りすべるようにゆっくり」 |
| 探査測線は滑落崖を含む | 「地すべりを全部調べるには滑落崖も含めて測る。一番ダイナミックな場所を外したら意味がない」 |
| ボーリング:1ブロック3箇所以上 | 「3点あれば平面が決まる=頭部・中央・末端に1本ずつ」 (2点では面の形状が決まらない)」 |
5. 関連用語
- 弾性波探査:地すべり面形状・地下水把握に使用
- ボーリング調査:コア観察ですべり面粘土を特定
- 地下水調査:地下水位・流動層の把握がすべり面推定の核心
6. 参考文献
- 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』P.257「地すべりに関する調査」
- オーム社『ボーリングポケットブック第6版』P.374・P.519
- 国土交通省砂防部「地すべり防止技術指針及び同解説(平成20年4月)」
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