弾性波探査
主任
0. まずここだけ覚える
- 4手法の得られる情報(暗記必須):屈折法弾性波探査→P波速度構造、高密度表面波探査→S波速度構造、反射法(浅層反射法)→反射境界面の形状、電気探査(比抵抗法)→比抵抗分布
- 屈折法の特徴:屈折波を使う(「反射波」→ 誤り)。測線は直線が原則(「曲線」→ 誤り)。幅の狭い断層破砕帯の検出は困難
- 走時曲線の落とし穴:低速度層(V2 < V1 < V3)が下に挟まれている場合、V2層は走時曲線に現れない(V1→V3の2層曲線になる)
1. 意味(一言でいうと)
地表で人工的に発生させた弾性波の伝播特性を測定し、地盤の速度構造・地質構造を把握する物理探査手法。
屈折法と反射法があり、特に屈折法はP波速度によるトンネル岩盤分類・切土斜面評価に広く使われる。高密度表面波探査(S波)・電気探査(比抵抗)と組み合わせて地すべりや地下水調査にも適用される。
2. 出題パターンと重要ポイント
章別の出題傾向
| 章 | 出題数 | 主な出題テーマ |
|---|---|---|
| 第4章 | 10 | 物理探査手法の特徴比較・屈折法の詳細・走時曲線の計算 |
| 第5章 | 5 | 地すべり・地盤評価への適用 |
| 第6章 | 5 | 現地保安・爆薬使用時の安全管理・電気探査の感電防止 |
| 第3章 | 3 | 手法と得られる情報の組合せ問題 |
※出題数=令和元年度試験〜令和7年度試験の6年間に出題された数
頻繁に問われるポイント・ひっかけ
【主要探査手法で得られる情報・適用対象の比較】
| 手法 | 得られる情報 | 主な適用対象 |
|---|---|---|
| 屈折法弾性波探査 | P波速度構造 | トンネル岩盤分類、切土斜面、構造物基礎 |
| 高密度表面波探査 | S波速度構造 | 河川堤防、宅地地盤、支持層・岩頭線確認 |
| 浅層反射法探査 | 反射境界面の形状 | 浅部地質構造、活断層、地下空洞 |
| 電気探査(二次元比抵抗) | 比抵抗分布 | 地すべり、地下水、破砕帯、温泉・地熱 |
【屈折法弾性波探査の詳細】
| 項目 | 正しい内容 | ひっかけ |
|---|---|---|
| 使う波 | 屈折波 | 「反射波」→ 誤り |
| 測線形状 | 直線が原則 | 「曲線」→ 誤り |
| 断層破砕帯 | 幅の狭いものは検出困難 | 「確実に検出可能」→ 誤り |
| 適用目的 | 地層の硬軟・割れ目・風化変質帯分布の把握 | |
| 空洞検出 | 困難(地下水位に関わらず) |
【走時曲線】
- 速度が速い層が下にある場合:起振点から一定距離以上で下位層を伝わった波が先に到達 → 走時曲線に折れ点が現れる
- 低速度層(V2)が中間に挟まれた場合(V2 < V1 < V3):V2層は走時曲線に現れない → V1→V3の2層曲線になる(頻出)
【物理探査の現地保安】
| 探査手法 | 保安上の留意点 |
|---|---|
| 爆薬使用の弾性波探査 | 有資格者が必要。落雷時は作業中止 |
| 電気探査 | 高電圧がかかることがある → 感電事故防止に留意 |
| 放射能探査 | 一般的に法的手続き不要、放射線取扱主任者の配置不要 |
| 密度検層 | 放射線使用 → 放射線取扱主任者を配置が必要 |
| 地中レーダ | 道路上:交通事故に注意。トンネル:落下事故に注意 |
【その他】
- 地盤工学会基準:「地盤の屈折法弾性波探査方法」は制定されていない
- 電気探査の比抵抗値:岩盤の硬軟判断には適していない(「適している」→ 誤り)
3. 過去問例
(令和7年度 第3章 問63より)
下表は,地質調査に利用される主な物理探査手法と得られる情報を示したものである。表中の空欄 A~D に当てはまる適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
| 手法 | 測定によって得られる情報 |
|---|---|
| 高密度表面波探査 | A |
| 比抵抗法二次元探査 | B |
| 屈折法弾性波探査 | C |
| 反射法弾性波探査 | D |
| 記号 | A | B | C | D |
| (1) | S波速度構造 | 反射境界面の形状 | 比抵抗分布 | P波速度構造 |
| (2) | S波速度構造 | 比抵抗分布 | P波速度構造 | 反射境界面の形状 |
| (3) | P波速度構造 | 反射境界面の形状 | S波速度構造 | 比抵抗分布 |
| (4) | P波速度構造 | 比抵抗分布 | 反射境界面の形状 | S波速度構造 |
正解:(2)
各手法と得られる情報の対応を正確に覚えることが鍵。
4. 覚え方
| 混同しやすい事項 | 覚え方 |
|---|---|
| 屈折法 → P波 / 表面波探査 → S波 | 「P波は圧力波で速い→遠くまで屈折。S波はずれ波で遅い→表面を波打つ」 |
| 手法と情報の対応 | 「屈折→速度(P)、反射→形状(境界面)、表面波→速度(S)、電気→比抵抗」 |
| 低速度層は走時曲線に現れない | 「下に遅い層があると波が戻ってこないから走時曲線に出ない(隠れる)」 |
| 爆薬使用 → 落雷時中止 | 「雷があると爆薬が誘発される危険→即中止」 |
5. 関連用語
- 岩盤分類:屈折法弾性波探査のP波速度で岩盤を分類
- 地すべり:弾性波探査と電気探査を組合せて調査
- 物理探査:弾性波探査・電気探査などを包括する調査手法の総称
6. 参考文献
- 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』P.407「地質調査に利用される主な物理探査手法」
- 地盤工学会『地盤調査 基本と手引き』P.51「第7章 弾性波探査」
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