ボーリング調査
主任
0. まずここだけ覚える
- 発注方式:ボーリング調査は「総合評価落札方式」で発注される。プロポーザル方式ではない。「地質リスク調査検討」「地質調査計画策定業務」などの高度技術業務がプロポーザル方式。
- 地すべり調査:1ブロック内で 3箇所以上(30〜50 m 間隔)、オールコア採取が原則。「1箇所で行うことを基本」という選択肢は誤り。
- 土壌汚染調査:掘削水を用いずに掘削が基本。ボーリング孔は観測井として仕上げる。薬匙は試料ごとに洗浄(掘削孔ごとは誤り)。
- 工学的地質区分の模様:礫状(しずく形)模様 → 「角礫岩(Br)」であり「黒色片岩」などは誤り
1. 意味(一言でいうと)
地中にロッドを回転・打込みながら掘削し、土砂・岩石のコアや各種試験データを取得する地盤調査の基本手法。
地すべり調査・土壌汚染調査・トンネル設計・構造物基礎調査など、ほぼあらゆる地質調査の起点となる。採取したコアはそのまま土質試験や岩石試験の供試体となり、掘削孔は孔内水平載荷試験・透水試験・地下水位観測などにも利用する。
2. 出題パターンと重要ポイント
章別の出題傾向
| 章 | 出題数 | 主な出題テーマ |
|---|---|---|
| 第4章 | 5 | 海上ボーリング安全・品質管理・試料採取計画・地すべり留意点 |
| 第3章 | 5 | 土壌汚染調査の注意事項・柱状図標題欄・観察記事の重要性・工学的地質区分の模様 |
| 第1章 | 3 | 発注方式(プロポーザル vs 総合評価落札) |
| 第2章 | 3 | 地すべり調査・土壌汚染・山岳トンネル調査 |
| 第5章 | 1 | 物理探査結果とのボーリング対比 |
| 第6章 | 1 | 道路上調査の行政手続き |
※出題数=令和元年度試験〜令和7年度試験の6年間に出題された数
頻繁に問われるポイント・ひっかけ
【発注方式】
- ボーリング調査は「総合評価落札方式」(プロポーザル方式ではない)
- プロポーザル対象:地質リスク調査検討、地質調査計画策定業務、軟弱地盤調査・検討など
【土壌汚染調査】
- ボーリング孔は「地下水観測井と別に掘削しなければならない」→ 誤り。観測井として仕上げることが望ましい
- 掘削水(泥水・清水の循環利用)は二次汚染を防ぐため使わないことが基本
- 薬匙の洗浄は「掘削孔ごと」→ 誤り。「試料ごと」が正しい
- 土壌ガス調査で汚染ガスが検出された場合、ボーリング調査(深度方向調査)は「詳細調査」に該当し、原則 10 m まで土壌溶出量を測定
【ボーリング柱状図・観察記事】
- 柱状図標題欄の緯度・経度は「敷地の中心位置」→ 誤り。「ボーリング孔口位置」が正しい(世界測地系・度分秒)
- ボーリングは小型の「現場実験」とみなせる。「掘進時の現象」(泥水の逸水、孔壁の崩壊・せり出し)が設計・施工上の重要データとなる
【海上ボーリング安全】
- 乗船・下船は「波の一番高い位置で行う」→ 誤り。波の低い位置で行う
【品質管理】
- 粘性土サンプリング試料が乱れると一軸圧縮強さが 小さく なり、過小設計につながる(「大きくなり過大設計」は誤り)
- カッティングスの排除不足 → 標準貫入試験の N 値が過大になる
- トリコンビット(ロータリーコーンビット)はコア採取用 ではない。石油・ガス井・温泉井の全断面掘削用
【地すべり調査】
- 調査箇所は主測線上で1ブロック内「3箇所以上」、間隔 30〜50 m
- 「1箇所で行うことを基本とする」→ 誤り
【工学的地質区分の模様】
- ボーリング柱状図において岩種を表すために使用する模様・文字記号のこと。
| 模様の見た目 | 岩種 | 文字記号 |
|---|---|---|
| 点(散点)模様 | 砂岩 | Ss |
| レンガ状(水平線+縦連結)模様 | 石灰岩 | Ls |
| V字(山形・シェブロン)模様 | 玄武岩 | Ba |
| 礫状(楕円・しずく形の粒)模様 | 角礫岩(角礫) | Br |
- ひっかけ:礫状(しずく形)模様 → 「黒色片岩」などは誤り。正しくは「角礫岩」
【道路上調査】
- 道路占有許可 → 道路管理者へ申請(警察署ではない)
- 道路使用許可 → 所轄の警察署へ申請
- 「両者とも警察署へ申請」→ 誤り
3. 過去問例
(令和7年度 第4章 問67より)
次は,地すべりにおけるボーリング調査に関する留意点について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) ボーリングはオールコア採取を原則とし,掘削孔径はボーリング孔を利用したすべり面調査や地下水調査を考慮し適切に定める。
- (2) 調査箇所は,地すべりの運動方向に設定した主測線に沿って,地すべりブロック内の中央部にあたる1箇所で行うことを基本とする。
- (3) 調査深度は,地すべり土塊内の岩塊を基盤と見なせる場合もあることから,基盤を確認するのに十分な深度とする。
- (4) 地すべりブロックの層厚が推定不可能な場合は,原則として1本あたりの長さを地すべりブロック幅の1/3程度と仮定し,掘進結果を参考に長さを調整する。
正解:(2)
1つの運動ブロック内では 3箇所以上、間隔 30〜50 m を確保して調査するのが基本。ブロックが大きい場合や主測線だけでは不十分な場合は副測線も設ける。
4. 覚え方
| 混同しやすい事項 | 覚え方 |
|---|---|
| 発注方式:プロポーザル vs 総合評価 | 「ボーリングは価格競争・総合評価。頭脳戦(プロポーザル)は高度業務だけ」 |
| 地すべり調査の箇所数 | 「1ブロック、最低3点(三角形で地すべりを囲む)」 |
| 道路許可の窓口 | 「占有は道路の地主(管理者)へ、使用は警官(警察署)へ」 |
| 柱状図の緯度・経度 | 「孔口の位置」(敷地の中心ではなく穴の口) |
| トリコンビット | 「トリコン=石油掘削用。コア採取はダイヤモンドビット」 |
| 薬匙の洗浄 | 「試料ごと」(孔ごとでは汚染が混入する) |
| 礫状模様 = 角礫岩 | 「ゴツゴツした粒 → 角が立った角礫岩」 |
5. 関連用語
- コア採取:ボーリングで得られる円柱状試料の採取
- 孔曲がり:掘削軸の傾きがもたらす観測誤差・止水不良の原因
- 標準貫入試験:ボーリング孔を利用して実施する代表的な原位置試験
- 孔内水平載荷試験:ボーリング孔内で地盤の変形係数を測定
- 地すべり:ボーリング調査でのすべり面確認が核心
6. 参考文献
- オーム社『ボーリングポケットブック第6版』(第2章・第5章・第8章)
- 全地連「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」(平成 27 年 6 月)
- 全地連「ボーリング野帳記入マニュアル土質編」(2000 年 9 月)
- 一般財団法人 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』(地すべり調査)
- 国土交通省「建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン」
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