有効応力
主任
0. まずここだけ覚える
- 有効応力 = 全応力 − 間隙水圧(σ’ = σ − u)
- 静止土圧係数 K0 は「有効応力」に掛ける(全応力に掛けてはいけない)
- 圧密沈下 → 間隙水圧減少 → 有効応力増加 → 地盤強度上昇 → 液状化しにくくなる
1. 意味(一言でいうと)
土粒子骨格に実際に作用する有効な応力。全応力から間隙水圧を差し引いた値で、土の強度・変形・液状化を支配する基本量。
地震時に間隙水圧が急上昇すると有効応力がゼロに近づき液状化が発生する。逆に圧密が進むと間隙水圧が消散して有効応力が増え地盤が締まる。地盤設計では全応力と有効応力を正確に使い分けることが重要。
2. 出題パターンと重要ポイント
章別の出題傾向
| 章 | 出題数 | 主な出題テーマ |
|---|---|---|
| 第4章 | 2 | モール円上の記号の説明・液状化と有効応力の関係 |
| 第5章 | 1 | 湖底シルト層の応力計算(鉛直有効応力・水平全応力・水平有効応力) |
| 第2章 | 1 | 圧密沈下による間隙水圧変化と液状化リスク |
※出題数=令和元年度試験〜令和7年度試験の6年間に出題された数
頻繁に問われるポイント・ひっかけ
【鉛直全応力 σv】
- 地表面から対象点までの各層の重量の合計
【間隙水圧 u】
- 水面から対象点までの高さ × γw(水の単位体積重量)
【鉛直有効応力 σ’v】
- σ’v = σv − u
【水平応力の計算】(静止土圧係数 K0 の使い方)
- 水平有効応力:σ’h = K0 × σ’v(有効応力に掛ける)
- 水平全応力:σh = σ’h + u(水平有効応力 + 間隙水圧)
- 「K0 を全応力に掛ける」→ 誤り(全応力に K0 を掛けると間隙水圧にも K0 がかかってしまう)
【計算例】

条件:水深 5.0m、シルト層深度 4.0m、γsat = 15 kN/m³、γw = 10 kN/m³
- 鉛直全応力:5.0 × 10 + 4.0 × 15 = 110 kN/m²
- 間隙水圧:9.0 × 10 = 90 kN/m²
- 鉛直有効応力:110 − 90 = 20 kN/m²
- 水平有効応力(K0 = 0.5の時):20 × 0.5 = 10 kN/m²
- 水平全応力:10 + 90 = 100 kN/m²(「K0 × 110 = 55 kN/m²」は誤り)
【CUバー三軸試験のモール円】
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| φ’ | せん断抵抗角(有効応力)。有効応力円の包絡線の傾き角 |
| σ3 | 最小主応力(圧密応力と等しい) |
| σ1−σ3 | 主応力差。最大値の 1/2 = 最大せん断応力(「圧縮強さ」→ 誤り) |
| Δu | 間隙水圧増分。全応力円が右または左に移動し有効応力円を描く |
【圧密と有効応力】
- 軟弱地盤の盛土による圧密沈下 → 間隙水圧は時間とともに減少 → 有効応力は増加 → 地盤強度上昇 → 液状化が発生しにくくなる
- 「圧密沈下が誘発する現象」として「液状化」を選ぶのは誤り
3. 過去問例
(令和7年度 第5章 問86より)
下図は,湖底に堆積したシルト層の地質調査結果を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

- (1) A点の鉛直全応力は, 110 kN/m² である。
- (2) A点の鉛直有効応力は, 20 kN/m² である。
- (3) A点の水平全応力は,静止土圧係数がK0 = 0.5 のとき, 55 kN/m² である。
- (4) A点の水平有効応力は,静止土圧係数がK0 = 0.5 のとき, 10 kN/m² である。
正解:(3)
ポイント:静止土圧係数 K0 は有効応力に掛けるもの。水平有効応力 = 20 × 0.5 = 10 kN/m²。水平全応力 = 10 + 90 = 100 kN/m² → 55 kN/m² は誤り。
4. 覚え方
| 混同しやすい事項 | 覚え方 |
|---|---|
| 有効応力 = 全応力 − 間隙水圧 | 「本当に土粒子に効く応力 = 全体 − 水圧(水の負担分を引く)」 |
| K0 は有効応力に掛ける | 「K0 は土粒子同士の水平方向の関係→有効応力(土粒子分)に掛ける」 |
| 圧密 → 有効応力増加 → 液状化しにくい | 「圧密で水が出る → 間隙水圧下がる → 土が締まる → 地震に強くなる」 |
| σ1−σ3 の 1/2 = 最大せん断応力 | 「モール円の半径がせん断応力の最大値。圧縮強さ(一軸圧縮強さ qu = σ1)と混同しない」 |
5. 関連用語
- 間隙水圧:有効応力の計算に直接使う基本量。地震時の上昇が液状化の引き金
- 液状化:地震による間隙水圧上昇で有効応力がゼロになる現象
- 三軸圧縮試験:有効応力ベースの強度定数(c’・φ’)を CUbar 条件で求める
- 圧密試験:時間経過に伴う間隙水圧消散・有効応力増加のプロセスを測定
6. 参考文献
- 地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説 第一回改訂版』(P.616「CUバー三軸圧縮試験方法」)
- 千三つさんが教える土木工学「土の自重による応力」
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