粘性土
主任
0. まずここだけ覚える
- 根切り工事で粘性土 → ヒービング(ボイリング・パイピング・液状化は砂質土で発生)
- 短期安定 → UU試験、長期安定・緩速施工 → CUバー試験、沈下量 → 圧密試験
- サンプリング試料の乱れ → 一軸圧縮強さが「小さく」なる(「大きくなり過大設計」などは誤り)
- 試料選定は上下先端を避けて代表的な箇所から(「刃先から使用」は誤り)
- 細粒分多 → 最適含水比「大」・最大乾燥密度「小」(「最適含水比低・最大乾燥密度高」は誤り)
1. 意味(一言でいうと)
細粒分(粒径 0.075 mm 以下)を主体とする土で、シルトと粘土に大別される地盤材料。
工学的分類では粘性土 [Cs] に分類され、液性限界(WL)50% を境に低液性限界(L)と高液性限界(H)に区分される。シルト(M)と粘土(C)の判別は塑性図上で行う(観察による分類ではない)。記号例:CL(低液性限界粘土)、CH(高液性限界粘土)、ML・MH(シルト)。比抵抗が低く(水分を多く含み電流を通しやすい)、透水係数は小さい。圧密試験の結果から透水係数を推定できる。
2. 出題パターンと重要ポイント
章別の出題傾向
| 章 | 出題数 | 主な出題テーマ |
|---|---|---|
| 第5章 | 17 | 盛土設計の試験項目・杭基礎(負の摩擦力)・圧密沈下・締固め |
| 第3章 | 8 | 土の分類・サンプリング手法と適用地盤・試料取扱い |
| 第4章 | 5 | 試料乱れの影響・透水性・間隙水圧測定・締固め試験 |
| 第6章 | 4 | 乱れの少ない試料取扱い規格(JGS 0102) |
| 第2章 | 3 | 根切り工事のトラブル(ヒービング) |
※出題数=令和元年度試験〜令和7年度試験の6年間に出題された数
頻繁に問われるポイント・ひっかけ
【根切り工事トラブル】
- 粘性土 → ヒービング(掘削底面が土留背面の重量によりすべり面が生じて隆起する現象)
- ボイリング・パイピング・液状化 → 砂質土で発生(粘性土は直接の原因にならない)
【盛土設計の試験項目】
- 粘性土地盤の短期安定 → UU(非圧密非排水)三軸圧縮試験
- 粘性土地盤の長期安定・緩速施工 → CUバー(圧密非排水)三軸圧縮試験(CU試験は強度増加の算定)
- 沈下量の検討 → 段階載荷による圧密試験(CBR試験は路盤材の支持力判定であり不適)
- 盛土工事における圧密沈下の主原因 → 含水比の高い粘性土
【杭基礎】
- 沖積粘性土が厚く分布する地盤 → 負の周面摩擦力の検討が必要(「必要ない」は誤り)
- 支持層(礫質土等)の下に粘性土層がある → 支持層より下の粘性土層の圧密沈下検討も必要
【サンプリング手法と適用地盤】
- 固定ピストン式シンウォール → 軟らかい粘性土・細粒分含む緩い砂質土
- ロータリー式二重管 → N = 4〜15 の粘性土(「N=0〜3」などは誤り)
- ロータリー式三重管 → 硬い粘性土・密な砂質土
- ブロックサンプリング → 粘性土地盤に適している
【試料の取扱い】
- 力学試験に供する試料は上下先端を避けて代表的な箇所から選定(「刃先から使用」は誤り)
- 水平押出し → 一度に全部押し出せる利点あり(鉛直押出しは狭いスペースでも作業可能な利点)
- パラフィンシール → 押し出し前に試料が出てくる側のパラフィンを除去してから押し出す(シールしたまま押し出しは誤り)
- 火山灰質粘性土・有機質土 → 非乾燥法を適用(炉乾燥してから含水比調整は誤り)
【間隙水圧測定】
- 粘性土層の短期測定 → 閉鎖型電気式間隙水圧計
- 砂層の短期測定 → 開放型のケーシング法
【比抵抗・透水性】
- 比抵抗の大小順:花崗岩 > 石灰岩 > 未固結砂層 > 粘性土層(粘性土は水分が多く電流を通しやすいため最も低い)
- 変水位透水試験 → 透水係数が小さい土(微細砂・シルト・粘性土)に適用
- 粘性土の透水係数 → 圧密試験結果から推定可能
【締固め特性】
- 細粒分が多くなると → 最適含水比が大きくなり、最大乾燥密度が小さくなる(「低く・高く」は誤り)
- 火山灰質粘性土 → 一度乾燥させると締固め特性が変化する
- 火山灰質粘性土の品質管理基準 → 空気間隙率(Va)または飽和度(Sr)
3. 過去問例
(令和7年度 第2章 問24より)
次は,根切り工事において,軟弱な粘性土が直接の原因となって起こるトラブルを示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) ボイリング
- (2) パイピング
- (3) 液状化
- (4) ヒービング
正解:(4)
ポイント:ボイリング・パイピングは土留背面と掘削面側の水位差による砂質土地盤の現象。液状化は飽和した緩い砂地盤で発生する。ヒービングは軟弱な粘性土地盤の掘削底面が、土留背面の重量によるすべり面の発生により隆起する現象であり、粘性土が直接の原因。
4. 覚え方
| 混同しやすい事項 | 覚え方 |
|---|---|
| 粘性土 → ヒービング | 「ねちっこい粘性土が盛り上がる → ヒービング」 |
| 短期安定 → UU試験 | 「急ぐ(Un-drained × 2)試験 → 短期安定」 |
| ロータリー式二重管 N=4〜15 | 「N=0〜3は柔らかすぎて二重管不要 → 4からスタート」 |
| 刃先から使用は誤り | 「刃先は乱れている → 上下を切り捨て中央部を使う」 |
| 細粒分多 → 最適含水比「大」 | 「細かい土ほど水をたっぷり吸う → 最適含水比が大きい」 |
| 粘性土の比抵抗は低い | 「水ぶくれの土は電流を通しやすい → 比抵抗が低い」 |
5. 関連用語
- 礫質土:礫分>砂分の粗粒土。杭の支持層として使われることが多い
- 砂質土:砂分が主体の粗粒土。ボイリング・液状化の主舞台
- 圧密試験:粘性土の沈下量推定・透水係数算定に不可欠
- 一軸圧縮試験:粘性土の短期強度(qu)を求める試験。試料乱れで強さが小さくなる
- せん断強度:UU・CU・CUバー・CD 試験で得られる強度パラメータ
- 土の分類:粘性土をシルト(M)・粘土(C)に分ける工学的分類体系
6. 参考文献
- JIS A 1205:2020「土の液性限界・塑性限界試験方法」
- JIS A 1210:2020「突固めによる土の締固め試験方法」
- JGS 0102-2020「力学試験のための乱れの少ない粘性土試料の取扱い方法」
- 地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説[第一回改訂版]』
- 地盤工学会『地盤調査 基本と手引き』
- オーム社『ボーリングポケットブック第6版』
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