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令和6年度 地質調査技士資格検定試験「現場技術・管理部門」(Ⅲ. 現場技術の知識(38問))の回答及び解説を作成しました
各問題についての回答と解説は、「回答・解説はこちら→」に記載しています
地質調査技士の資格取得を目指す方々に少しでも役に立てば嬉しいです
令和6年度 地質調査技士試験「現場技術・管理部門」
Ⅲ. 現場技術の知識(38問)
問29. 次は,ボーリングマシンの油圧装置におけるオイルポンプについて述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 分類すると,ギヤポンプ,ベーンポンプ,プランジャーポンプに分けられる。
- (2) 吐出量の脈動が少なく,一定の吐出量であることが必要である。
- (3) 性能上で分類すると,定吐出量型ポンプと可変吐出量型ポンプに分けられる。
- (4) 圧力の変化によって吐出量も変化することが必要である。
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正解は「4」。オイルポンプは圧力が変わっても吐出量の変化が少ない必要がある。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.29 「2章 ボーリング掘削装置および器具類」)
問30. 次は,ボーリング作業着手前の確認作業について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 業務開始前に仕様書から目的,調査内容,調査方法,工程などを確認する。
- (2) 機材数量は深度変更や孔径変更などが生じた場合の予備分も含めて過不足がないか確認する。
- (3) 掘進中の地質の変化に対応する資材が備わっているか確認する。
- (4) 既存資料調査や現地調査を行う必要はない。
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正解は「4」。既存資料調査や現地調査を行う必要がある。調査場所の地形や障害物、掘削対象の地質や土質などの現地状況を把握し、現地に最も適した作業方法を検討する。
問31. 次は,ボーリング足場の必要性について述べたものである。文章中の空欄 A ~ D に当てはまる語句の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
A や水上のボーリングでは B な用地を求めることが難しいため,足場仮設を行う必要がある。また, B 地であっても, C ボーリング,原位置試験や D パイプ挿入等の作業のために足場仮設を行う必要がある。
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正解は「4」。ちなみに陸上でのボーリング作業では主に単管足場が多く用いられるが、水上でのボーリング作業の際は水深や外力に対する適用性や安全性などの点から最も適した足場を選定する必要がある。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.105 「3章 計画・準備、仮設」)
問32. 次は,良質な泥水の特徴について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 脱水量が少なく,泥壁が薄く強靭である。
- (2) 塩水,セメントその他の電解質物質と容易に反応しやすい。
- (3) 張付きができにくく,潤滑性に優れている。
- (4) 温度,圧力に対する安定性が大きい。
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正解は「2」。良質な泥水の特徴として、塩水やセメントその他の電解質物質混入により性質が変化しにくいことが挙げられる。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.157 「4章 掘進技術」)
問33. 次は,セメンチングについて述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 崩壊,逸水および湧水の防止に有効な方法である。
- (2)泥水中でセメンチングする場合,効果を高めるため泥水濃度を濃くする。
- (3) 大きな逸水を止める場合には,逸水防止剤や水ガラスと併用する。
- (4) 孔内のカッティングスはセメントスラリーごと固化し,コアとして採取し排除する。
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正解は「2」。泥水中のセメンチングはセメントスラリー(セメントと水の混合液)による泥水の汚染などの問題があり控えることが望ましい。孔内保護を目的に実施することもあるが、濃度の濃い泥水を用いるとセメントの強度が極端に低下するため、濃度を適切に調整することが重要となる。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.157 「4章 掘進技術」)
問34. 次は,孔内事故対策について述べたものである。不適切なものを一つ選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) ロッドの切断事故は,使い過ぎによる強度低下によることが多い。
- (2) 抑留事故の発生時には発生箇所の詳細を把握することが重要である。
- (3) 孔口から工具類などを落下させた場合,回収する必要がある。
- (4) 膨張性粘土鉱物を含んだ地盤の掘削時には,抑留防止としてケーシングは挿入しない。
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正解は「4」。膨張性粘土鉱物を含んだ地盤は吸水膨張により抑留(ロッドやビットが抜けなくなること)のリスクが高く孔内の崩壊が発生しやすい。そのため、抑留防止としてケーシングを挿入する必要がある。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.157 「4章 掘進技術」)
問35. 次は,現場において地下埋設物を破損した場合の応急処置と対応について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) ガス管破損は破損状態のままガス会社に連絡し,埋設管位置が深い場合には,コアチューブやロッドなどの削孔道具を引き抜かずガスを遮断する。
- (2) 水道管破損は漏水,湧水箇所をウエスなどで止水する。湧水量が多い場合は第三者誘導と交通整理を行う。
- (3) 電力線破損は破損部分に絶対に水を付けない。感電の恐れがあるため,素手や濡れた軍手では直接触れない。
- (4) 歩道沿いの民地で,引込管などの地下埋設図面の記載がなく試掘後,GL-2m付近で障害物(通信ケーブル)を切断した。「死線」と判断して削孔を継続した。
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正解は「4」。図面に記載されていないため切断した障害物(通信ケーブル)を死線(通電していない電線)と判断し削孔を継続するのは間違い。障害物(通信ケーブル)を切断した場合は、通電している可能性もあるため、削孔を中止する。
問36. 次は,土壌・地下水汚染調査のための試料採取について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 第三種特定有害物質に関する試料採取は,表層土壌の採取を基本とする。
- (2) 地下水試料の採取は,自然状態を保つため掘進後の孔内水を極力乱さずに採取する。
- (3) 第一種特定有害物質に関する試料採取は,土壌ガスの採取を基本とする。
- (4) 第二種特定有害物質に関する試料は,物質の付着を防ぐため所定の容器に封入する。
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正解は「2」。帯水層別・深度別に地下水汚染の有無を確認する場合もあるため、地下水試料の採取は掘進途中に行う場合もある。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.435 「8章 土壌・地下水汚染にかかわる調査」)
問37. 次は,ブロックサンプリングによる土試料の採取方法(JGS 1231-2012)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 採取方法は,切出し式ブロックサンプリングと押切り式ブロックサンプリングがある。
- (2) シール材としてパラフィンを用いる場合には,パラフィンの試料内への浸透を防ぐ。
- (3) 試料採取容器には,試料の上下方向を明記する。
- (4) 押切り式ブロックサンプリングは,試料を成形した後で試料収納容器をかぶせて採取する。
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正解は「4」。押切り式ブロックサンプリングは、試料を粗削りし上面を平坦に仕上げた後、試料収納容器を置き、収納容器の形状に沿ってカッターナイフなどで試料を数mmずつ切り下げ、容器を垂直に押し込みながら試料を採取する。(4)は切出し式ブロックサンプリングの説明。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.237 「5章 試料採取と土および岩の分類」)
問38. 次は,標準貫入試験(JIS A 1219:2023)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 保孔のためのケーシングを挿入する場合には,試験深度より下に貫入させてはならない。
- (2) 試験孔は,鉛直で孔曲りがないことが重要である。
- (3) 試験孔は,孔底に沈積物を残さないことが重要である。
- (4) 掘削終了後の掘削器具の引き上げは,孔底に負圧を与えないように急ぎ行う。
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正解は「4」。掘削器具の急速な引上げは負圧の発生につながり、孔底地盤が乱れやすくなるため注意が必要。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.321 「6章 ボーリング孔内を利用する原位置試験・計測」)
問39. 次は,岩盤のシュミット式ハンマー試験(JGS 3411-2012)について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 中硬岩のみを対象とする。
- (2) 静的貫入によるハンマーの抵抗値を測定する。
- (3) 測定する面は,試験対象とする岩盤の露出面で,平面上の領域とする。
- (4) 測定点は,測定面内に 5 点以上設定する。
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正解は「3」。(1)軟岩から硬岩までを対象とする。(2)ハンマーの打撃によるはねかえり量を測定する。(4)測定点は、測定面内に9点以上設定する。
問40. 次は,地盤の指標値を求めるためのプレッシャーメータ試験方法(JGS 1531-2012)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 地盤の指標値としての変形係数,降伏圧力,破壊圧力を求める試験である。
- (2) 測定間隔は加圧後 15 秒,30 秒,1 分とする。
- (3) 試験深さの最小間隔は,プローブ長の 1.5 倍以上とする。
- (4) 試験孔を掘削した後,試験は速やかに実施しなければならない。
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正解は「1」。プレッシャーメータ試験は、変形係数、降伏圧力、極限圧力を求める試験方法。破壊圧力は間違い。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.321 「6章 ボーリング孔内を利用する原位置試験・計測」)
問41. 次は,注水による岩盤の透水試験方法(JGS 1322-2012)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 注水管内の水位は,水位測定器で水位変化が確認された時間と共に記録する。
- (2) 注水管に清水を送り,管内の気泡を除去する。
- (3) 岩盤を均質等方な多孔質媒体と仮定して透水係数を求める。
- (4) 試験区間の長さ L と孔径 D の比 L/D は 4 以上とする。
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正解は「1」。注水管内の水位は、水位測定器で一定時間ごとに測定し、水位変化が小さくなるまで測定を継続する。
問42. 下表は,ボーリング孔内で行う物理検層の手法などを示したものである。不適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「3」。密度検層を実施する場合、孔内水は不要。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.321 「6章 ボーリング孔内を利用する原位置試験・計測」)
問43. 次は,特殊土の特徴について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) ロームは,乱すと強度低下が著しい。
- (2) しらすは,粘着力が大きい。
- (3) まさ土は,雨水や流水の浸食に弱い。
- (4) 泥炭は,小さい荷重で著しい沈下が発生する。
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正解は「2」。しらすは粘着力がほとんどない。そのため、雨水や流水の浸食に弱く、斜面崩壊が発生しやすい。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.519 「10章 ボーリングに必要な基礎知識」)
問44. 下図は,ある土の粒径加積曲線を示したものである。割合が多い粒径区分の呼び名として適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 砂
- (2) シルト
- (3) 粘土
- (4) 礫
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正解は「1」。粒径加積曲線を見ると、0.1mm〜1mmの粒径の割合が多く、粒径区分の呼び名としては砂となる。ちなみに、土粒子の径が0.005mm〜0.075mmの場合はシルト、0.005mm未満の場合は粘土、2mm〜75mmの場合は礫となる。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.237 「5章 試料採取と土および岩の分類」)
問45. 次は,地盤材料の工学的分類方法(JGS 0051-2020)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 地盤材料の分類は,大分類,中分類,小分類である。
- (2) 分類記号は,〔 〕がついているものが中分類である。
- (3) 粒径 75mm 以上の石分を質量分率で 50%以上含むものは,岩石質材料に区分される。
- (4) 地盤材料の工学的分類と土質柱状図の土質名は,必ずしも対応しない。
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正解は「2」。〔 〕が付いているものは大分類。中分類の分類記号は{ }。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.237 「5章 試料採取と土および岩の分類」)
問46. 次は,地すべり移動体が硬質な岩盤の場合の,コア観察の記載事項を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 鉱物脈の種類(石英脈,沸石脈,方解石脈など),幅,傾斜
- (2) 粒度組成,粘性度,淘汰度
- (3) 堆積構造(層状,塊状,級化層理やラミナなど),片理構造,片麻状構造,流理構造などの初生的な構造
- (4) 地層または岩石の地質時代,地層名,岩体名
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正解は「2」。粒度組成、粘性度、淘汰度は地すべり移動体が崩積土のような未固結堆積物の場合に記載する事項。地すべり移動体が硬質な岩盤の場合の記載事項は他にも次のようなものがある。
- 鉱物結晶・砕屑粒子などの粒度組成(等粒状、斑状)、粒子の形状(等方体状、偏平状、柱状、針状、不規則)、粒子の円磨度(角、亜角、亜円、円)など
- 不連続面(分離面)(種類(層理、片理、へき開、冷却節理、その他の割れ目など)傾斜、間隔・頻度、面の性状(粗さ(凹凸)、色調(特に水が通ったか否か)、スリッケンサイド(鏡肌)・条線などの有無など、挟在物の種類、開口(間隙幅、流入粘土の有無)の程度など)
- 断層破砕帯の破砕の程度(せん断面の頻度、断層角礫・断層粘土の区別、破砕物の粒度)、固結度、スリッケンサイド(鏡肌)・条線などの有無、断層破砕帯の上下面及びスリッケンサイドの傾斜、条線の方向など
- 変質脈の色調、鉱物の種類、硬さ、変質の程度、幅、傾斜など
- 空隙の状態(割れ目状、洞状等)、規模、分布頻度など
- 地すべり粘土がある場合、その厚さ、性状(粒度、含水状態、鏡肌)など
- 急激な逸水、湧水、空洞及びコア採取不可能等の掘進作業における特記事項
(参考サイトURL: https://www.zenchiren.or.jp/koukai/ 全地連HP「ボーリング柱状図作成及び ボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」)
問47. 下表は,工学的地質区分名(模様)の岩種区分の組合せを示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「4」。(4)の模様が表すのは「角礫岩」。
(参考サイトURL: https://www.zenchiren.or.jp/koukai/ 全地連HP「ボーリング柱状図作成及び ボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」)
問48. 次は,岩石(岩盤)の風化について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) わずかな岩石の風化とは,鉱物の変質の割合が 75%以上である。
- (2) 岩石の風化の程度を区分する際には,岩石全体の酸化による色調は指標の一つである。
- (3) 新鮮な岩石であっても主な不連続面はわずかに変質することがある。
- (4) 極めて風化した岩盤は,もともとの岩盤の構造をほとんど残していない。
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正解は「1」。わずかな岩石の風化は鉱物の変質の割合が0〜10%の場合。変質の割合が75%以上の場合は著しい風化にあたる。
(参考サイトURL: https://www.zenchiren.or.jp/koukai/ 全地連HP「ボーリング柱状図作成及び ボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」)
問49. 次は,ボーリングコア写真の撮影について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 撮影時の天候は,太陽光が直接ボーリングコアに当たる晴天時が望ましい。
- (2) 撮影時間は,朝夕は赤色光が強く自然状態の色調が再現できないので避ける。
- (3) コア箱からカメラまでの撮影距離は,コア箱の撮影ごとに一定になるようにする。
- (4) 色見本は,色調がずれたときに元の色調に戻すため,コア箱1箱ごとに撮影する。
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正解は「1」。撮影時の天候は、明るい曇天が望ましい。太陽光が直接ボーリングコアに当たる晴天時だと、光の反射によってボーリングコアの一部が明るくなってしまい、状況が写らなくなる。
(参考サイトURL: https://www.zenchiren.or.jp/koukai/ 全地連HP「ボーリング柱状図作成及び ボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」)
問50. 次は,標準貫入試験で採取した試料の記録について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) カッティングスの有無と,試料の採取長を記録する。
- (2) コンクリート片などの人工物の混入については記録する必要はない。
- (3) 砂・礫では粒径と粒径分布,および礫の最大径,礫種,混入割合について記録する。
- (4) 色調は試料を採取した直後,新鮮な状態のうちに観察して記録する。
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正解は「2」。コンクリート片などの混入物についても観察し、記録する。
(参考図書:社団法人 地盤工学会『地盤調査 基本と手引き』 P.105 「第15章 標準貫入試験」)
問51. 下図は,あるボーリングにおけるコア採取状況を示したものである。このコアの RQD およびその評価の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「1」。RQDは岩盤の良否を表す指数のことで、単位区間(一般的に1m)当たりの10cm以上の長さのボーリングコアの総延長の比で表す。図を見ると、10cm以上のコアは「10cm」「18cm」「12cm」のものがあり、足し合わせると40cm。掘進長100cmの40%であるため、RQDは40%となる。RQDの割合が低いほど状態が悪く、高いほど状態が良い。25%〜50%は状態が「悪い」に該当する。ちなみに、0%〜25%は「非常に悪い」、50%〜75%は「普通」、75%〜90%は「良い」、90%〜100%は「非常に良い」となる。
(参考サイトURL: https://www.zenchiren.or.jp/koukai/ 全地連HP「ボーリング柱状図作成及び ボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」)
問52. 次は,土壌汚染状況調査のボーリング調査における分析試料採取の際の注意事項について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 試料採取深さは舗装や砕石をのぞいた土壌表面を基準とする。
- (2) 対象物質が第一種特定有害物質の場合は,早く試料を採取し容器に密封する。
- (3) 分析試料はコアの表面を避け,できるだけコア内部から採取する。
- (4) 薬匙は掘削孔ごとに洗浄したものを使用する。
【回答・解説はこちら→】
正解は「4」。薬匙は試料ごとに洗浄したものを使用する。
問53. 次は,土質試験に用いる試料の準備方法について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) サンプリングチューブから押し出しされた試料により力学試験に供する部分を選別する際は,サンプリングによって乱されやすい上下先端部分を避ける。
- (2) サンプリングチューブから押し出された力学試験用の試料を保管する場合は,濡らした布で覆い,パラフィンで密封する。
- (3) 乱した試料から試験に用いる必要量を取り出すときは,原則として四分法を用いる。
- (4) 非乾燥法で試料の粒度調整をする場合は,必要に応じて加水し,ゴムへらを用いて金属製網ふるいで裏ごしする。
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正解は「2」。濡らした布で覆うと、冬季の場合などに凍結する恐れがある。凍結すると試料の体積が膨張し、試料に乱れを与えてしまうことになる。また、含水比が変化する場合もあり、力学試験の結果に影響を与えてしまう可能性もある。
(参考図書:オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.237 「5章 試料採取と土および岩の分類」)
問54. 次は,土懸濁液の pH 試験方法(JGS 0211-2020)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 適量の試料を容器に入れ,乾燥質量に対して所定の質量比になるように水を加える。
- (2) 測定は,懸濁液をろ過したろ液に pH 計の電極を浸漬させて行う。
- (3) pH 計は,標準液を用いて校正したものを使用する。
- (4) 試験の際は,試料液の温度を測定する。
【回答・解説はこちら→】
正解は「2」。懸濁液をろ過したろ液を測定するのは間違い。懸濁液とは試料に蒸留水を加えたもの。懸濁液は試料の乾燥質量に対する水(試料中の水を含む)の質量比が5になるように室温にした水を加えてかき混ぜて作る。作った懸濁液は30分以上3時間以内静置したものを測定用試料液とし、この試料液に調整したpH計の電極を浸漬させ、pH計の指示値が安定した後pHを読み取る。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.310「土懸濁液のpH試験方法」)
問55. 下図は,土の液状化特性を求めるために,土の繰返し非排水三軸試験(JGS 0541-2020)を行って得られるデータを模式的に示したものである。無関係な図一つを選び記号((1)~(4))で示せ。ただし,データは必ずしも同一試料の結果を示すものでないこととする。
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正解は「4」。(4)の図は三軸圧縮試験で得られるモール円。この円の包絡線と縦軸との切片からc(粘着力)、接線の傾きからφ(せん断抵抗角)を読み取る。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.829「岩(岩石)の三軸圧縮試験方法」)
問56. 次は,土の段階載荷による圧密試験方法(JIS A 1217:2021)について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 土を一定のひずみ速度で連続的に一次元圧密し,圧縮性及び強度に関する定数を求める。
- (2) 直径 50mm,高さ 25mm を標準寸法とするが,それ以外の寸法の供試体を用いる場合は,直径を高さの 2 倍以下とする。
- (3) 圧縮曲線は,間隙比 e,体積比 f,圧密応力 p の関係 e-logp または f-logp を図化する。
- (4) 細粒分を主体とした透水性の低い飽和土には適用できない。
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正解は「3」。(1)土を一次元的に、かつ、段階載荷によって排水を許しながら圧密し、圧縮性及び圧密速度に関する定数を求める試験方法。(2)供試体は直径6cm、高さ2cmを標準とし、それ以外の寸法の供試体を用いる場合は、供試体の直径を高さの2.5倍以上にする。(4)細粒分を主体とした透水性の低い飽和土にもこの試験方法を適用できる。
問57. 次は,岩石の一軸圧縮試験方法(JGS 2521-2020)について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 供試体の直径は,50~100mm を標準とする。
- (2) 供試体の高さは,直径の 2.5 倍以上にする。
- (3) 軸ひずみ速度は,毎分1%を標準とする。
- (4) 軸圧縮力が最大値の 2/3 程度に減少した時点で,軸圧縮を終了する。
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正解は「1」。(2)供試体の高さは直径の2倍を標準とする。また、直径の1.8倍〜2.5倍を許容範囲とする。(3)軸ひずみ速度は、毎分0.01%〜0.1%を標準とする。(4)圧縮中に軸圧縮力が最大値を確認した後、圧縮を終了する。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.817「岩石の一軸圧縮試験方法」)
問58. 次は,岩石の弾性波速度計測方法(JGS 2564-2020)について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) P 波計測と S 波計測の順番は規定しない。
- (2) 必要に応じ,少量の接着剤を供試体の両端面に塗布する。
- (3) 振動子を供試体に密着させる時の圧力は 100kN/m2を超えないようにする。
- (4) S 波計測に接着剤を用いる場合,グリースなど粘性のある材料を使用する。
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正解は「4」。グリースなど粘性のある接着剤を使用するのはP波計測時。
問59. 次は,細粒分質砂(SF)に分類される砂質土層について,液状化判定を行うために実施される試験方法を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 土の粒度試験方法(JIS A 1204:2020)
- (2) 土の液性限界・塑性限界試験方法(JIS A 1205:2020)
- (3) 土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験方法(JGS 0521-2020)
- (4) 土の繰返し非排水三軸試験方法(JGS 0541-2020)
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正解は「3」。土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験方法は飽和した粘性土を対象とする試験方法。
(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説』 P.570「土の非圧密非排水(UU)三軸圧縮試験方法」)
問60. 下図は反射法地震探査のデータ処理方法を示したものである。図中の記号A~Dに当てはまる処理過程名の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「3」。図が表すのは「CMP重合法」と言われる反射法地震探査におけるデータ処理方法。CMPとはCommon Middle Pointの略で、起振点と受振点の中点が共通なデータを集めて重合する手法のこと。震央距離(起振点から受振点までの距離)が様々な反射記録からCMPを共有する記録を集めることをCMP編集という。NMO補正(Normal Move Out correction)は震央距離が零でない記録を補正し、震央距離が零の記録に戻すこと。CMPを共有する記録を全て足し合わせて1本の記録にすることをCMP重合という。
問61. 下図は,地中レーダ探査における模式的な反射パターンと地盤構造を示したものである。各パターンの探査対象について適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「2」。埋設管や転石(玉石)、空洞などによる反射記録は上に凸の双曲線型になる。
(参考資料:路面下空洞探査車の探査技術・解析の品質確保コンソーシアム「路面下空洞探査 技術マニュアル(案)(平成29年9月)」)
問62. 下表は,熱赤外映像法による吹付のり面の地山性状と表面温度の一般的なパターンを示したものである。表中の空欄 A ~ D に当てはまる語句の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「4」。吹付のり面の背後に空洞がある場合、空洞部が断熱材の役割を果たし、吹付表面から地山への熱の流出が抑制される。また、夜間は空洞部で地山からの熱の放射が遮断される。結果、空気を多く含む空洞部は日射がある日中とくに高温となり、気温の下がる深夜や早朝は低温となる傾向を示す。
問63. 次は,海上音波探査のシングルチャンネル方式の特徴をマルチチャンネル方式と比べて述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 発振間隔を短くできるので,多重反射や回折波を除去できる。
- (2) 探査装置が小規模であり,小型船でも調査が可能である。
- (3) 室内でのデータ処理をしない場合もあるため,迅速に結果が得られる。
- (4) マルチチャンネル方式より費用が安い。
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正解は「1」。多重反射や解析波といったノイズを除去できるのはマルチチャンネル方式の特徴。
問64. 次は,速度検層の種類と測定上の適用条件について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) ダウンホール方式は,ケーシングパイプ内での測定ができる。
- (2) 孔内起振受振方式(サスペンション法)は,ケーシングパイプ内での測定ができる。
- (3) ダウンホール方式は,地表で起振し,孔内で受振する。
- (4) 孔内起振受振方式(サスペンション法)は,孔内水位以深での測定しかできない。
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正解は「2」。孔内起振受振方式(サスペンション法)は保護管やケーシングパイプ内での測定はできない。
(参考図書:地盤工学会『地盤調査 基本と手引き』P.37「第5章 速度検層」)
問65. 次は,軟弱地盤におけるダウンホール方式による速度検層および電気検層について,適用の可否の組合せを示したものである。適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
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正解は「4」。ダウンホール方式による速度検層は孔内起振受振方式の場合と測定できる条件が異なる。ダウンホール方式は孔内水位がない場合やケーシングパイプ内でも測定可能であるが、孔内起振受振方式の場合は測定できない。
(参考図書:地盤工学会『地盤調査 基本と手引き』P.37「第5章 速度検層」)
問66. 次は,電気検層の利用方法について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- (1) 地層区分,地層対比を目的とする。
- (2) 帯水層の判定はできない。
- (3) ボーリングコアがない区間の地層の推定ができる。
- (4) 亀裂帯や粘土化帯などの弱層の判定ができる。
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正解は「2」。電気検層は帯水層の判定ができる。その他にも、湧水箇所の検出や地盤改良効果の判定、地層の厚さや連続性の推定ができる。
(参考図書:地盤工学会『地盤調査 基本と手引き』P.45「第6章 電気検層」)
解説については図書や他サイトを参考に記述していますが、
私自身、勉強している身であるため、言葉足らずな点や間違い等あるかと思います
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