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資格試験

【過去問回答&解説】令和7年度(2025年度) 地質調査技士資格検定試験(Ⅳ. 調査技術の理解度(12問))

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令和7年度 地質調査技士資格検定試験「現場技術・管理部門」(Ⅳ. 調査技術の理解度(12問))の回答及び解説を作成しました

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過去問は「一般社団法人全国地質調査業協会連合会」様から許可を得て使用しています

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令和7年度 地質調査技士試験「現場技術・管理部門」

Ⅳ. 調査技術の理解度(12問)

問67. 次は,地すべりにおけるボーリング調査に関する留意点について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)ボーリングはオールコア採取を原則とし,掘削孔径はボーリング孔を利用したすべり面調査や地下水調査を考慮し適切に定める。
  • (2)調査箇所は,地すべりの運動方向に設定した主測線に沿って,地すべりブロック内の中央部にあたる1箇所で行うことを基本とする。
  • (3)調査深度は,地すべり土塊内の岩塊を基盤と見誤る場合もあることから,基盤を確認するのに十分な深度とする。
  • (4)地すべりブロックの層厚が推定不可能な場合は,原則として1本あたりの長さを地すべりブロック幅の 1/3 程度と仮定し,掘進結果を参考に長さを調整する。

【回答・解説はこちら→】

正解は「2」。

一つの運動ブロック内で「3箇所以上」行うことを基本とする。調査箇所は30〜50m程度間隔を空ける。

ちなみに、主測線は地すべりブロックを代表する位置に設ける基準線であるが、地すべりブロックが大きい場合や主測線のみでは十分な調査成果が得られない場合は副測線を設け調査を行う。

(参考図書:一般財団法人 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』 P.257「地すべりに関する調査」)

問68. 次は,地すべり調査においてすべり面を推定するための調査方法を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)地盤伸縮計
  • (2)パイプひずみ計
  • (3)オールコアボーリング
  • (4)孔内傾斜計

【回答・解説はこちら→】

正解は「1」。

地盤伸縮計は、主に地すべりの調査で用いられるが、「地表面の移動量」を把握するための調査方法であり、すべり面を推定するための手段ではない。

ちなみに、ボーリングコアの判読によりすべり面の位置が特定できない場合、ボーリング孔にパイプひずみ計や孔内傾斜計を設置し、すべり面の挙動を把握する。

(参考図書:一般財団法人 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』 P.257「地すべりに関する調査」)

問69. 次は,シールド工法における留意すべき地盤を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)被圧地下水や可燃性ガスが賦存する地盤
  • (2)硬軟の地層が互層状態になっている地盤
  • (3)鋭敏比の低い軟弱な低塑性の粘性土地盤
  • (4)玉石および流木などが挟在する地盤

【回答・解説はこちら→】

正解は「3」。

シールド工法は非常に軟弱な沖積層から洪積層、新第三紀の軟岩までの地盤に適用される。また、「鋭敏比が低い」とは「乱しても強度低下が小さい」ということであり、留意すべきは「鋭敏比が高い(乱れで強度が急低下する)」粘性土地盤。

(参考資料:「シールドトンネル工事の安全・安心な施工に関するガイドライン(令和3年12月)」シールドトンネル施工技術検討会)

問70. 次は,熱水変質について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)熱水と岩石の反応である。
  • (2)熱水の成分や温度,原岩の種類により生成する鉱物が異なる。
  • (3)断層に沿って生じるため,変質帯の位置および範囲を特定できる。
  • (4)生じている範囲を熱水変質帯という。

【回答・解説はこちら→】

正解は「3」。

熱水変質は断層だけでなく、節理や割れ目など流体が通るところで広く生じる。そのため、変質は面状・不均一に広がることが多く、位置や範囲を特定できるとは言い切れない。

ちなみに、熱水変質とは、火山地帯のマグマなどに伴う熱水により、周辺岩盤を変質させる作用のこと。

問71. 次は,地質調査報告書をまとめる際の留意事項について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)広域的な考察とは,調査対象の構造物が立地する周辺の地層の構成と,その地質工学的特性についての記述である。
  • (2)既存の調査資料の結果も考慮し,総合的な判断や解釈を明記する。
  • (3)事実と解釈を明確に分けて記載し,解釈の部分についてはその根拠を明記する。
  • (4)きわめて少ないデータから結論を導き出したり,飛躍した理論や複数の実験式を組合せて結論を誘導する。

【回答・解説はこちら→】

正解は「4」。

報告書をまとめるにあたり、「飛躍した推論や結論をむやみに出してはいけない」。ただし、もし避けようがない場合(やむを得ない場合)は、前提条件を丁寧に記述・説明し、顧客の誤解を招かないようにする必要がある。

(参考図書:一般財団法人 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』 P.501「地質調査の成果品と電子納品」)

問72. 次は,標準貫入試験で得られるN値に与える影響について,ボーリング掘削時に留意すべき事項を述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)ボーリングロッド,SPTサンプラーやアンビルなどの接続部は定期的にチェックし,変状が認められたら直ちに交換する。
  • (2)孔底にカッティングスが多いとN値が過小に評価されるため,孔底にカッティングスが溜まらないようにする。
  • (3)掘進中の孔底地盤のボイリングや泥水の過剰送水による孔底の乱れに注意を払う。
  • (4)玉石が混在する地盤では,なるべく玉石を避けたマトリックス部分で試験を行う。

【回答・解説はこちら→】

正解は「2」。

孔底にカッティングスが多いとN値が「過大」に評価されることがある。カッティングス(スライム)や崩壊土砂が孔底に溜まっていると、SPTサンプラーの先詰まりなどが原因となってN値が増加することがある。

(参考資料:「我が国における標準貫入試験の利用実態と留意点〜歴史背景とサウンディングとの関係を含めて〜」一般社団法人 関東地質調査業協会)

問73. 次は,圧密現象および圧密試験について述べたものである。不適切なものを一つ選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)圧密とは,細粒分を主体とした透水性の低い地盤が静的荷重を受け,間隙水を徐々に排水して密度が増加する現象をいう。
  • (2)正規圧密とは,現在受けている圧密圧力が,その土の圧密降伏応力に等しい状態をいう。
  • (3)土の段階載荷による圧密試験方法(JIS A 1217:2021)では,一つの段階においては一定の圧密圧力で一次圧密を終了させた後に,段階的に圧密圧力を増加させる。
  • (4)土の定ひずみ速度載荷による圧密試験方法(JIS A 1227:2021)では,連続的なデータが得られる長所があるが,二次圧密に関する情報は得られない短所がある。

【回答・解説はこちら→】

正解は「2」。

正規圧密とは、現在受けている圧密圧力が、その土の圧密降伏応力を「超えている」状態をいう。

ちなみに、現在受けている圧密圧力が、その土の圧密降伏応力より低い状態を「過圧密」という。

(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説 [第一回改訂版] 』 P.19「地盤材料の室内試験に関する用語の定義」)

問74. 次は,土の繰返し非排水三軸試験方法(JGS 0541-2020)により得られる繰返し載荷回数Ncについて述べたものである。不適切なものを一つ選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)所定の両振幅軸ひずみDAが生じたときの繰返し載荷回数Ncが10以上となった場合は,整数に丸める。
  • (2)1≦Nc<10 の場合は 0.5 の単位でまとめる。
  • (3)Nc=1の時点で所定のDAより大きなひずみDA(1)を生じている場合は,Nc=0とする。
  • (4)一連の試験結果を,繰返し応力振幅比を縦軸に,繰返し載荷回数Ncを横軸にとって描画する。

【回答・解説はこちら→】

正解は「3」。

Nc=1回の時点で所定のDAより大きなひずみDA(1)が生じ、その所定のDAに対する1回以下のNcを定義する必要があるときは、次式「Nc=DA/DA(1)」で算定し、「0.1単位でまとめる」。

(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説 [第一回改訂版] 』 P.769「土の繰返し非排水三軸試験方法」)

問75. 次は,土質試験の報告事項を求める過程で,土粒子の密度の値が必要になる室内試験および当該報告事項を示したものである。不適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

【回答・解説はこちら→】

正解は「3」。

砂の最小密度・最大密度試験において、最大密度を算出する際、土粒子の密度の値は不要。最大密度は「最大密度試験の試料及びモールドの質量」「モールドの容積」が分かれば求めることができる。

ちなみに、最小密度も報告事項の一つであり、「最小密度試験の試料及びモールドの質量」「モールドの容積」で算出できる。

(参考図書:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説 [第一回改訂版] 』 P.219「砂の最小密度・最大密度試験方法」)

問76. 次は,物理探査の適用を検討する際の留意点について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)調査の目的に最適な物性値を選択し,探査手法を選定する必要がある。
  • (2)対象とする物性値の変動幅や周辺のノイズ環境等を勘案し,探査の手法・仕様・使用機器等の検討が必要である。
  • (3)地表からの探査の場合,一般に対象深度が増すにつれ精度や分解能は向上するため,対象とする深度や探査対象の規模も考慮することが必要である。
  • (4)モニタリング用途の場合は,データ取得環境が可能な限り同一となるよう留意することが必要である。

【回答・解説はこちら→】

正解は「3」。

一般的に対象深度が増すにつれて精度や分解能は「低下する」。

ちなみに、手法によって探査可能な深さは異なるため、対象とする深さに対応した手法を選択する必要がある。

(参考図書:地盤工学会『地盤調査の方法と解説』 P.96「物理探査・検層の適用と限界」)

問77. 次は,施行中のトンネルで切羽前方の数〜100m程度までの地山状況を把握するための物理探査手法を示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)熱赤外線映像調査
  • (2)HSP
  • (3)磁気探査
  • (4)VSP

【回答・解説はこちら→】

正解は「2」。

HSPとは、切羽前方探査法の一つで、掘削中のトンネル坑内で切羽前方の地山状況を反射波で予測する探査技術。地表からの調査と比べ、より確実に地山状況を把握できる。

(1)熱赤外線映像調査は、赤外線カメラを利用し、対象物体を非接触で表面の熱赤外線エネルギーを測定する手法。吹付のり面などの背面に空洞が存在するかを判定する際などに有効的。

(3)磁気探査は、磁気センサで磁場の乱れを検出する手法で、地中の埋没鉄類の位置などを確認する際に有効的。

(4)VSPとは、速度検層と同じように地表で発振し、ボーリング孔内の受振器で観測、もしくは孔内で発振し、地表の受振器で観測して得られた波形を解析し地下構造を探査する手法のこと。データ処理・解析方法は浅層反射法と類似しているものの、よりボーリング孔近傍の地層境界を高精度に抽出することができる。また、反射面の深さを正確に求めることができるため、浅層反射法と併用し、探査精度の向上を図ることができる。

(参考図書1:一般財団法人 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』 P.159「山岳トンネルの地質調査」)

(参考図書2:地盤工学会『地盤調査の方法と解説』 P.143「その他の弾性波探査」)

問78. 次は,路面下浅部の埋設物や空洞の調査における代表的な物理探査手法を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)ミューオンラジオグラフィ
  • (2)表面波探査
  • (3)浅層反射法探査
  • (4)地中レーダ探査

【回答・解説はこちら→】

正解は「1」。

ミューオンラジオグラフィとは、宇宙線に含まれる高い透過力を持つ素粒子ミューオンを用いて火山やピラミッドなどの巨大で厚い対象物を非破壊で透視する技術のこと。イメージとしては、医療現場や産業分野で用いられているX線撮影技術の巨大版のようなもの。

(参考サイトURL: https://flab.phys.nagoya-u.ac.jp/2011/appli/muon/ 名古屋大学理学研究科 F研「宇宙線ミューオンラジオグラフィ」)


解説については図書や他サイトを参考に記述していますが、

私自身、勉強している身であるため、言葉足らずな点や間違い等あるかと思います

もし、間違い等あった場合は記事にコメントを残していただけると幸いです

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