【過去問回答＆解説】令和7年度（2025年度） 地質調査技士資格検定試験（Ⅱ. 地質、測量、土木、建築等の知識（12問））
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【過去問回答＆解説】令和7年度（2025年度） 地質調査技士資格検定試験（Ⅴ. 解析手法，設計・施工への適用（12問））
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こんにちは！主任と申します
令和7年度 地質調査技士資格検定試験「現場技術・管理部門」（Ⅴ. 解析手法，設計・施工への適用（12問））の回答及び解説を作成しました
各問題の回答と解説は、「回答・解説はこちら→」に記載しています
地質調査技士の資格取得を目指す方々に少しでも役に立てば嬉しいです
令和7年度 地質調査技士試験「現場技術・管理部門」
Ⅴ. 解析手法，設計・施工への適用（12問）
問79. 次は，地震応答解析に必要な地盤の物性値を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）圧密係数
- （2）せん断剛性率
- （3）履歴減衰係数
- （4）動的変形特性
【回答・解説はこちら→】
正解は「1」。
圧密係数は「圧密沈下時間」を求める際に必要な定数。
ちなみに、地震応答解析とは、地中の震源で発生した地震波が地盤中を伝わり、地表付近でどのように揺れるのかを求めるもの。
問80. 次は，浸透流解析について述べたものである。文章中の空欄 A ~ C に当てはまる語句の適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
「浸透流解析は，建設工事が A に与える影響検討や洪水時における河川堤防の安全性検討などに用いられる。解析を行う際に実施する B においては， C に着目した土層区分や飽和透水係数の把握が特に重要となる。」
【回答・解説はこちら→】
正解は「1」。
浸透流解析とは、地下水の流動する地盤において、地下水の流動状況を計算により求める方法のこと。主な解析手法には、有限差分法や有限要素法などが存在し、対象とする工事の内容や地盤構成などを考慮し選定する。
（参考図書：一般財団法人 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』 P.322「水文調査」）
問81. 次は，圧密沈下について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）過圧密粘土は，圧密降伏応力が現在の有効土被り圧より大きい。
- （2）e-logp曲線は，圧密沈下量の計算に使用する。
- （3）圧密係数が大きいほど圧密沈下時間が長い。
- （4）圧密層の層厚が厚く，排水距離が長いほど圧密沈下時間が長い。
【回答・解説はこちら→】
正解は「3」。
圧密係数（Cv）が「小さいほど」圧密沈下時間は長くなる。
圧密沈下時間（t）を求める際の計算式は次の通り。
t=Tv×H2÷Cv
（Tv:時間係数、H:排水距離（※両面排水の場合：H/2、片面排水の場合：H））
（参考図書：地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説 [第一回改訂版] 』 P.500「土の段階載荷による圧密試験方法」）
問82. 次は，路面下における空洞発生の直接の原因を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）道路に近接する水路や護岸の目地やクラックなどからの背面土砂の吸出し
- （2）埋設管の破損箇所等からの土砂の管内への流入
- （3）軟弱地盤上の盛土の沈下に伴う路面のクラック
- （4）地山や埋設物と盛土の境界部に発生する水みちの拡大による緩みや沈下
【回答・解説はこちら→】
正解は「3」。
クラックを放置するとそこから雨水が浸入し、「盛土の不安定化」「地すべりの促進」につながる恐れがあるものの、路面下に空洞を発生させる直接的な原因としては不適切。
（参考資料：「道路土工構造物点検要領（平成30年6月）」国土交通省 道路局 国道・技術課）
問83. 次は，盛土工事における圧密沈下の主な原因となる地盤特性を示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）透水性の高い砂質土
- （2）地下水位の低いれき質土
- （3）含水比の高い粘性土
- （4）飽和度の低い火山灰質土
【回答・解説はこちら→】
正解は「3」。
含水比の高い粘性土は、盛土により間隙水圧が増え、時間をかけて排水（圧密）していくため、長期にわたって沈下が進む典型的な条件。
（1）透水性が高いとは、排水が速いということであり、圧密沈下よりも「即時沈下」が発生しやすい。
（2）地下水位の低いれき質土は透水性も高く、圧密沈下は生じにくい。
（4）火山灰質土（ローム等）は、雨水や流水の浸食に弱く、湿潤化による強度低下が著しい特徴がある。飽和度が低い場合、盛土を行なってすぐには沈下しないものの、水を含むと「コラプス沈下」が生じやすい。
（参考図書1：一般財団法人 経済調査会『改訂3版 地質調査要領』 P.32「建設事業のための地質調査」）
（参考図書2：オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.519 「10章 ボーリングに必要な基礎知識」）
問84. 次は，軟弱地盤の二次圧密による沈下の対策工法を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）プレローディング工法
- （2）置換工法
- （3）アースドリル工法
- （4）深層混合処理工法
【回答・解説はこちら→】
正解は「3」。
アースドリル工法は場所打ちコンクリート杭工法の１つであり、地盤そのものの圧縮性や二次圧密を軽減する工法ではない。
ちなみに、二次圧密とは一次圧密（間隙水の排出による圧密）が終了してから始まる圧密のことで、土の粒子が締め固められることでゆっくりと沈下が進行する。
（参考図書：オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.387 「7章 工事、資源開発などにおける掘削技術」）
問85. 次は，地盤の耐震設計を検討する場合に必要な室内試験を示したものである。不適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
【回答・解説はこちら→】
正解は「3」。
液状化強度比を求める際に実施する室内試験は「土の繰返し非排水三軸試験」。この試験結果から求められた液状化強度比と繰返しせん断応力比から液状化安全率を算出し、液状化予測を行う。
（参考図書：地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説 [第一回改訂版] 』 P.769「土の繰返し非排水三軸試験方法」）
問86. 下図は，湖底に堆積したシルト層の地質調査結果を示したものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）A点に作用する鉛直全応力は，110kN/m2である。
- （2）A点に作用する鉛直有効応力は，20kN/m2である。
- （3）A点に作用する水平全応力は，静止土圧係数がK0=0.5のとき，55kN/m2である。
- （4）A点に作用する水平有効応力は，静止土圧係数が K0=0.5 のとき，10kN/m2 である。
【回答・解説はこちら→】
正解は「3」。
（1）鉛直全応力とは、上載する「水」と「シルト層」の重量の合計。水は5.0m×10kN/m3＝50kN/m2。シルト層は4.0m×15kN/m3＝60kN/m2。よって、50kN/m2＋60kN/m2＝110kN/m2で正しい。
（2）鉛直有効応力とは、鉛直全応力から間隙水圧を引いたもの。間隙水圧は、湖水面からA点までの距離×水の単位体積重量。9.0m×10kN/m3＝90kN/m2。よって、110kN/m2-90kN/m2＝20kN/m2で正しい。
（4）水平有効応力は、鉛直有効応力×静止土圧係数で求められる。よって、20kN/m2×0.5＝10kN/m2で正しい。
（3）水平全応力は、水平有効応力と間隙水圧を足したもの。よって、10kN/m2＋90kN/m2＝100kN/m2となる。したがって、（3）は不適切。※静止土圧係数は有効応力に掛けるものであり、全応力に掛けるのは間違い。（鉛直全応力110kN/m2に静止土圧係数0.5を掛けると55kN/m2となり、間隙水圧についても静止土圧係数を掛けてしまうことになる）
（参考サイトURL: https://sites.google.com/view/senmitsu/%E5%9C%B0%E7%9B%A4%E7%B3%BB/3-1-%E5%9C%9F%E3%81%AE%E8%87%AA%E9%87%8D%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%BF%9C%E5%8A%9B 千三つさんが教える土木工学「3.1 土の自重による応力」）
問87. 次は，アスファルト舗装の検討で実施した試験について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）路盤下から1mの深度までに分布する土を採取し，含水比を変化させないようにしてCBR試験を実施した。
- （2）深度方向に3層の土層を確認したため，採取した土を均等に混ぜ合せてCBR試験を実施した。
- （3）アスファルト舗装の厚さを決定する場合に必要となる路床の支持力を求めるために，設計CBR試験を実施した。
- （4）路盤材料や盛土材料の評価や選定のために，修正CBR試験を実施した。
【回答・解説はこちら→】
正解は「2」。
深度方向に土質が変化している場合は、各層の土を採取し、それぞれでCBR試験を実施した後、平均CBRを算出する。
（参考資料：「構内舗装・排水設計基準の資料（平成27年制定）」（国土交通省））
問88. 次は，地すべりを対象に，物理探査の調査計画について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）地下水位を把握するため，比抵抗法二次元探査と弾性波探査を併用する計画とした。
- （2）探査測線は基本的に，地すべり調査の主測線に沿って配置した。
- （3）横断測線も配置して地すべりの規模が把握できるようにした。
- （4）探査測線は滑落崖から離れる位置で計画した。
【回答・解説はこちら→】
正解は「4」。
探査測線は地すべりブロックを代表する位置に設ける必要があるため、滑落崖を含めた計画とする必要がある。測線は原則として直線とするものの、斜面の上部と下部の動きの方向が大きく異なる場合には折れ線とすることもある。
（参考図書：経済調査会『改訂3版 地質調査要領』P.257「地すべりに関する調査」）
問89. 次は，空洞調査を目的とした物理探査手法について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）熱赤外線映像調査は，日中と夜間の表面温度が高い箇所の分布から空洞を推定する手法である。
- （2）比抵抗法二次元探査では，地下水以浅の空洞では高比抵抗値となる。
- （3）放射能探査は，X線の線量が大きい箇所の分布から空洞を推定する手法である。
- （4）地中レーダ探査では，地下水位より深い箇所の空洞の検出は難しい。
【回答・解説はこちら→】
正解は「3」。
放射能探査は、岩石中に含まれる放射性同位元素から放出されるガンマ線を検出し、その強度やエネルギーを測定することでウラン鉱脈や温泉、断層調査などに用いられる手法。
ちなみに、ガンマ線は岩石中の亀裂を通じて移動することから、断層破砕帯やその周辺では放射能強度が上昇する。
（参考図書1：地盤工学会『地盤調査の方法と解説』 P.159「放射能探査」）
（参考図書2：物理探査学会『新版 物理探査用語辞典』 P.219「放射能探査」）
（参考図書3：九州大学出版会『はじめの一歩 物理探査学入門』 P.267「第8章 放射能探査」）
問90. 次は，地盤の物性値について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。
- （1）超音波速度測定によるP波速度と岩石の飽和度には，明瞭な関係が認められない。
- （2）未固結地盤におけるS波速度とN値には，明瞭な関係が認められない。
- （3）P波速度が大きいほど一軸圧縮強度も大きい。
- （4）S波速度と密度から動ポアソン比を求めることができる。
【回答・解説はこちら→】
正解は「3」。
（1）P波速度と岩石の飽和度には相関関係があり、体積含水率が高いと弾性波速度は低下し、体積含水率が低いと弾性波速度は高くなる傾向がある。
（2）未固結地盤におけるS波速度とN値には相関関係があり、S波速度から地層の推定が可能。
（4）動ポアソン比はS波速度と「P波速度」から求めることができる。S波速度と密度からは「せん断弾性係数」を求めることができる。
（参考図書1：オーム社『ボーリングポケットブック第6版』 P.519 「10章 ボーリングに必要な基礎知識」）
（参考図書2：地盤工学会『地盤調査の方法と解説』 P.98「速度検層」）
解説については図書や他サイトを参考に記述していますが、
私自身、勉強している身であるため、言葉足らずな点や間違い等あるかと思います
もし、間違い等あった場合は記事にコメントを残していただけると幸いです
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