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【過去問回答&解説】令和4年度(2022年度) 地質調査技士資格検定試験(Ⅳ. 調査技術の理解度(12問))

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令和4年度 地質調査技士資格検定試験「現場技術・管理部門」(Ⅳ. 調査技術の理解度(12問))の回答及び解説を作成しました

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令和4年度 地質調査技士試験「現場技術・管理部門」

Ⅳ. 調査技術の理解度(12問)

問67. 下図は,ある地層面の走向をクリノメーターで計測した結果を示したものである。この結果を地質図に記載する場合,正しい走向の表現として適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。なお,計測値点における偏角は西偏 7 度である。

  • (1) N45˚W
  • (2) N45˚E
  • (3) N52˚W
  • (4) N38˚E

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正解は「3」。クリノメーターはコンパスと異なり、E(東)とW(西)が逆。N(北)から45°W(西)に磁針が向いていることからN45°W。偏角補正は西偏7度であることから45°+7°=52°。よって計測結果として正しいのは「N52°W」となる。

(参考サイトURL: http://www.chugoku-geo.or.jp/geology/survey/006 中国地質調査業協会HP「地表踏査〜走向傾斜をはかる」)

問68. 次は,電気探査について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)帯水層の分布や地層構造の把握を目的とする。
  • (2)地盤の比抵抗は,地層の間隙率や水分飽和率,粘土鉱物含有率,温度などにより変化する。
  • (3)一般的には,粘土鉱物含有量が多いほど比抵抗は大きくなる。
  • (4)一般的には,水飽和度が大きくなるほど比抵抗は小さくなる。

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正解は「3」。粘土鉱物含有量が多いほど比抵抗は「小さく」なる。

問69. 次は,各種調査法の特徴について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)高密度表面波探査は,地盤の P 波速度構造を求める調査法である。
  • (2)放射能探査は,宇宙線を利用して断層などの存在を検出する調査法である。
  • (3)1m 深地温探査は,地下の温度分布から水ミチを推定する調査法である。
  • (4)浅層反射法探査は,急峻な地形での適用性が高い。

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正解は「3」。(1)P波速度構造ではなく「S波速度構造」が正しい。(2)宇宙線ではなく「地球内部から放出される放射線」が正しい。(4)浅層反射法探査は急峻な地形や地表面の凹凸の激しい所での適用は難しい。

(参考図書1:経済調査会『改訂3版 地質調査要領』P.420「放射能探査」)

(参考図書2:経済調査会『改訂3版 地質調査要領』P.409「浅層反射法探査(反射法地震探査)」)

問70. 下表は,トンネルの設計や施工に必要となる検討内容と調査内容を示したものである。不適切な組合せ一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

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正解は「1」。地山の流動性とは地山が流動する性質や傾向のことで、トンネル切羽の安定性を評価する場合などに検討する。主な調査内容としてはボーリング調査や粒度試験が上げられる。

問71. 次は,地質調査報告書をまとめる際の留意事項について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)提案する地盤定数は,それが岩盤試験値なのか,試験値を低減した値なのかを明記する。
  • (2)岩級区分断面図では,岩盤とボーリングコアの岩級区分とが一致しなければならない。
  • (3)トンネルの地山分類は,弾性波速度だけで決めてはならない。
  • (4)調査成果について,不確実性の高い項目についてはその内容を明記する。

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正解は「2」。断面図に記載する岩級区分とボーリングコアによる区分の基準は異なるため一致しなければならないのは間違い。ボーリングコアの場合、コアの形状や割れ目の状態、風化の程度等を基に区分する。

(参考資料:一般社団法人全国地質調査業協会連合会「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説(平成27年6月)」)

問72. 次は,標準貫入試験で得られるN値について留意すべき事項を述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)砂礫では,過大なN値が得られることがある。
  • (2)試験深度が深くなると,ロッドと孔壁との摩擦などによりN値が過小になることがある。
  • (3)試験孔の孔底にカッティングスが残っていると,N値が過大になることがある。
  • (4)掘進中の泥水管理が不十分であると,N値に影響することがある。

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正解は「2」。過小ではなく「過大」になることがある。

問73. 次は,液状化に関連する事項について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)地震時に土中の間隙水圧が上昇して有効応力が失われ,土が液状になる現象を指す。
  • (2)一般に,粒径幅の広い土の方が分級された土よりも液状化強度が大きい。
  • (3)砂の最小密度・最大密度試験を行って相対密度 Drを求めると,一般に Drが大きいほど液状化強度が大きい。
  • (4)細粒分を含む土は,一般に塑性指数Ipが小さいほど液状化強度が大きい。

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正解は「4」。液状化強度が「小さい」が正しい。塑性指数が小さいということは、塑性状態の範囲が狭いということ。塑性状態の範囲が狭いということは、液状と半固体状のどちらかになりやすい(粘土やシルトが少ない)ということ。つまり、塑性指数が小さくなればなるほど、粘土やシルトが少なく液状化が起こりやすくなる。

問74. 次は,岩石の圧裂引張り試験方法(JGS 2551-2020)および岩石の一軸引張り試験方法(JGS2552-2020)について述べたものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)いずれの試験も円柱状供試体を用い,高さは直径の 2 倍~2.5 倍を標準とする。
  • (2)いずれの試験も引張り応力-ひずみ曲線を報告する。
  • (3)一軸引張り試験では変形係数を報告するが,圧裂引張り試験では報告する必要はない。
  • (4)一軸引張り試験では供試体の密度を報告するが,圧裂引張り試験では報告する必要はない。

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正解は「3」。(1)圧裂引張り試験方法の場合、供試体の高さは「直径の0.5〜1.0倍」を標準とする。一軸引張り試験方法の場合、供試体の高さは「直径の1〜2倍」を標準とし、直径の0.5〜2.5倍を許容範囲とする。(2)いずれの試験も報告する必要はない。ちなみに、一軸引張り試験方法の場合は「軸方向応力−軸ひずみ曲線」を報告する。(4)いずれの試験も供試体の初期の高さ、初期の直径、初期のかさ密度を報告する必要がある。

(参考図書1:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説[第一回改訂版]』 P.1020「岩石の圧裂引張り試験方法」)

(参考図書2:地盤工学会『地盤材料試験の方法と解説[第一回改訂版]』 P.1029「岩石の一軸引張り試験方法」)

問75. 下図は,土の圧密非排水(CU̅̅̅̅)三軸圧縮試験の結果をモールの応力円で模式的に示したものである。図中の記号の説明として不適切なもの一つを表中から選び記号((1)~(4))で示せ。

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正解は「3」。圧縮強さではなく、「最大せん断応力」が正しい。

問76. 下図は,ある地盤の速度構造による走時曲線を示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。なお,地表で起震して地表で受振するものとする。

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正解は「3」。下位の地層の速度が上位の地層の速度より速い場合、起振点からある程度以上離れた場所では、下位の地層を伝わった波の方が上位の層を伝わった波よりも早く到達する。走時曲線は横軸に距離、縦軸に走時を表すため、上図のような地質状況で弾性波探査より得られる走時曲線は3のような形となる。ちなみに、令和5,6年度の試験で似通った問題が出題されている。

問77. 次は,河川堤防の維持管理に物理探査を適用する場合について述べたものである。不適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

  • (1)堤体の不均質箇所の抽出のために二次元比抵抗探査を行う。
  • (2)堤防護岸や構造物周辺に存在する空洞箇所を抽出するために二次元比抵抗探査を行う。
  • (3)堤体の強度不足箇所の抽出のために表面波探査を行う。
  • (4)浸透危険箇所の抽出のために表面波探査を行う。

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正解は「2、4」。(2)構造物周辺では測定結果に悪影響を及ぼすため、二次元比抵抗探査(比抵抗法二次元探査)の適用は避ける。(4)河川堤防の維持管理を目的に表面波探査を行うことは効果的であるものの、浸透危険箇所を抽出する場合は電気探査の実施も同時に検討する必要がある。

問78. 次は,以下の環境条件において,空洞あるいは地盤の緩み状況を確認するための物理探査手法を示したものである。適切なもの一つを選び記号((1)~(4))で示せ。

現場の環境条件は以下の通り。


調査深度:30~60m
地下水位:GL-10m
地表面 :アスファルト舗装で電柱あり
交通量 :夜間は少ない

  • (1)ランドストリーマを使った表面波探査
  • (2)電磁探査(ループ・ループ法)
  • (3)二次元比抵抗探査
  • (4)微動アレイ探査

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正解は「4」。(1)ランドストリーマを使った表面波探査の探査深度は地表面から約20m程度まで。(2)電柱の近辺など電気的干渉が多い環境では電磁ノイズが多いため、測定精度が低下する。また、浅い深度の探査に適している。(3)二次元比抵抗探査は地表面に電極を接地する必要があり、地表面が舗装されていると接地が困難。ちなみに、令和6年度の試験でほぼ同じ問題が出題されている。

解説については図書や他サイトを参考に記述していますが、

私自身、勉強している身であるため、言葉足らずな点や間違い等あるかと思います

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